2021年12月17日
津田
信太郎
市民局長
世界水泳選手権の大会規模につきましては、東京オリンピックの水泳競技での5種別49種目、出場選手数1,323人に対し、6種別76種目、2,400人の出場を見込んでおります。また、世界水泳選手権に引き続き世界マスターズ水泳選手権を開催し、1万人の参加を見込んでおります。
世界水泳選手権は種目数や参加選手数など、オリンピックの水泳競技を超える大会規模ということであります。トップアスリートを迎え入れ、ベストコンディションで競技に臨んでいただくためには入念な準備が必要かと思います。
大会事業費もこれまで180億円から190億円の見通しと聞いており、削減に向けた努力を行うということでありますが、これまでどのように事業費の削減に取り組み、その結果、大会事業費はどのようになっているのか、また、開催に向けた準備状況をお尋ねいたします。
津田
信太郎
市民局長
大会事業費につきましては、国際水泳連盟との協議や交渉を通じて、ハイダイビング会場のプール築造工法を変更したことなどにより約10億円を削減し、現在170億円から180億円を見込んでおります。大会の準備状況については、競技会場の整備といたしまして、ハイダイビングとオープンウォータースイミング会場のシーサイドももち海浜公園は令和3年10月に、競泳とアーティスティックスイミング、水球会場のマリンメッセA館、B館周辺と飛び込み会場の福岡県立総合プールは12月に着工し、整備を進めております。また、大会組織委員会では、会場整備のほか、競技運営や宿泊、輸送、警備業務などの準備を進めており、大会開催準備業務として40件以上、総額90億円以上の発注をしております。大会ボランティアについても、5,000人を超える応募をいただいており、定員を満たしております。
工法の見直しなど、創意工夫により10億円もの事業費の削減を実現した努力は評価したいと思います。今後も引き続き事業費の削減に取り組んでいただきたいと思います。
さらに、大会ボランティアの多数の応募があるなど、市民の関心も高まってきていると感じます。
水泳界ではオリンピックを超える規模の最高峰の大会である世界水泳を、一人でも多くの方々に知ってもらう必要があると考えますが、大会のPRなどにはどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
市民局長
大会のPRにつきましては、市役所の1階ロビーや区役所の懸垂幕、地下鉄車両や駅を活用した装飾、車内放送などに取り組んでいるほか、開幕200日前イベントにおいて、タレントの松岡修造さんに応援リーダーに就任いただいております。また、東京オリンピックメダリストの大橋選手や本多選手の協力も得てSNSを活用したPRを行うとともに、全国各地でオリンピアンを講師とした水泳教室キャラバンを開始しております。東京オリンピック・パラリンピック後からはテレビ朝日により、スポーツ大会の放送やCM枠を活用したPRを本格化させております。このような取組の結果、大会の認知度は令和3年11月時点で50.3%に上り、今後、4年1月のチケット販売開始を契機として、さらなるPRに取り組んでまいります。
チケットの販売も始まるということでございますので、多くの観客を迎えられるよう、しっかりPRに取り組んでいただきたいというふうに思います。
一方、新型コロナウイルス感染症の先行きが見通せない中では、観客や選手、関係者はもちろん、受け入れる市民の安全確保に取り組み、大会の成功と両立させる必要があるのではないでしょうか。
そこで、コロナ対策は検討しているのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
市民局長
大会におけるコロナ対策の検討につきましては、大会組織委員会に水泳競技や地域医療、感染症の専門家が参加した対策検討会議を設置し、市民の安全確保や円滑な大会運営に向け、東京オリンピック・パラリンピックや今年10月に開催された世界体操・新体操選手権北九州大会、令和4年2月に開催予定の北京冬季五輪などのコロナ対策並びに入国規制の状況や国が示す感染症対策の基本方針を踏まえ、バブル方式の採用も含め、詳細なコロナ対策を検討してまいります。
バブル方式は東京オリンピック大会でも採用されたということですが、そもそもバブル方式とはどういうものなのか、もしバブル方式での開催となった場合に想定される具体的な対策内容と費用をお尋ねいたします。
津田
信太郎
市民局長
バブル方式につきましては、国際スポーツ大会で行われている新型コロナウイルス感染症拡大防止策で、選手や大会関係者と外部の者を接触させない方式となっており、東京オリンピック・パラリンピックや世界体操・新体操選手権北九州大会でも採用されております。他の大会で実施されました具体的な対策内容といたしましては、大会期間中に選手や大会関係者等に対して定期的に検査を行うほか、一般の方との距離確保のため、選手等が宿泊するホテルでのフロア借り上げや動線分離などを実施しております。また、羽田空港や成田空港から入国した選手等の開催地の空港までの輸送において、間隔確保のため相当数の席の借り上げなどを行っており、状況によってはチャーターなどの検討も必要があると考えております。
感染状況により、万が一、世界水泳選手権でバブル方式を採用することになった場合の費用については、世界体操・新体操選手権北九州大会での費用を踏まえ、最大45億円程度を見込んでおり、コロナ対策費用については国に対し支援をお願いしてまいります。
受入れ側の市民や選手、関係者の安全確保に向け、具体的な対策の検討を進めており、費用についても、最も厳しいバブル方式を採用した場合には最大で45億円が想定されるということであります。費用の最適化に向け、開催時の感染状況や必要な対策を見極めていただきたいと思います。
また、大会に観客を迎えるに当たり、東京オリンピックでは無観客で開催される一方で、今年10月に開催された世界体操では、海外からの来場はできなかったものの、国内観客は会場の収容人数100%まで入場することができたと聞いております。
そこで、世界水泳では観客は来場できるのか、また、海外からの観客やマスターズの参加者は来日できるのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
市民局長
観客の取扱いにつきましては、競技会場の収容定員の100%まで来場できるよう準備に取り組み、市民の皆様に生のトップアスリートの競技に触れていただきたいと考えております。新型コロナウイルス感染の状況によっては、世界体操・新体操選手権北九州大会においても活用された、入場時にワクチン接種証明や陰性証明を確認することにより収容定員の100%の来場を可能とするワクチン・検査パッケージ制度の活用を検討してまいります。また、海外からの観客やマスターズ大会参加者の入国の可否は、大会開催時点での国の入国規制の状況によりますが、いつでも受入れができるよう、コロナ対策も含め、万全の準備に取り組んでまいります。
半年後である大会開催時のコロナの状況は誰にも分かりませんが、市民の安全を守るため、また、大会の円滑な運営のためにはしっかりとした事前準備が必要で、万が一に備えたバブル方式の検討を行うことも理解できます。政府は11月12日、新型コロナウイルス感染症対策本部において、今後は感染拡大を防止しながら、日常生活や経済社会活動を継続できるよう行動制限の緩和の取組を進めていくという方針を決定しました。これまでの自粛一辺倒の時代からウィズコロナ時代になり、この世界水泳を安全、安心な大会として成功裏に収めることができれば、国際都市として世界に福岡の名前を広げることができるチャンスであると思います。
コロナというピンチをチャンスに変えるためには、世界水泳について市民の皆様の理解や賛同を得ることが不可欠であり、子どもたちをはじめ、広く市民へ開催効果を還元することが重要と考えますが、子どもたちや市民に対し、大会への参加や交流、観戦の機会は提供されるのか、お尋ねいたします。
津田
信太郎
市民局長
子どもたちや市民の皆様に対する大会への参加や交流、観戦の機会の提供につきましては、市民参加事業として、7区市民プールにて元トップスイマーによる水泳教室を開催するほか、競技会場のバックヤードやハイダイビングタワーの見学ツアー、大会終了後の大会会場における中学生、高校生の大会開催の検討を進めてまいります。次代を担う子どもたちに対しては、競技会場やパブリックビューイングでの競技観戦に加え、選手等との交流や練習見学など、大会開催を体感できる特別な機会の提供を検討するとともに、教育委員会と連携し、大会出場国等に関する事前学習や廃プラスチックを活用した世界水泳参加者メダル作製を題材とした小学校における環境学習の実施などを検討してまいります。
さらに、世界水泳に来場する国内外からのお客様をおもてなしするため、世界水泳おもてなし店舗の登録を実施するとともに、市民や企業を巻き込みながら、大博通りなどを中心におもてなし花装飾を実施するなど、全庁を挙げたおもてなしに取り組むこととしております。その他、マーケットストリートのイベントステージでは、多様な方々が参画して大会を盛り上げるため、市民の皆様による各種活動の発表の場を提供させていただくことも検討しております。
市民への開催効果の還元に向け、各種取組を実施されるということでありますが、特に次世代を担う子どもたちにとって、地元で開催される国際大会での観戦や交流は一生の記憶に残るものになるのではないでしょうか。ぜひ可能な限り多くの子どもたちが大会に触れられる機会をつくっていただきたいと思います。
また、大きな事業費を要する特別な大会である以上、大会を一過性のものとせず、福岡市や市民の未来に引き継いでいく取組も重要でありますが、世界水泳選手権のレガシーとして、何を残して、何が引き継がれていくのか、お尋ねいたします。
津田
信太郎
市民局長
大会開催がもたらすレガシーにつきましては、有形、無形それぞれのものがあると考えており、有形のレガシーといたしましては、本大会で使用したプールを市内小学校において再活用するほか、宮崎県の高校からも再活用の申出をいただいております。無形のレガシーといたしましては、子どもたちをはじめ、市民の皆様に世界のトップスイマーの活躍や大規模国際スポーツ大会に間近に触れていただくことにより、夢や希望が育まれるほか、地元福岡への愛着や誇りの醸成につながるものと考えております。また、5,180人にも上る大会ボランティアの方々の、活動を通じた国内外の選手、関係者や観客との交流や官民連携したおもてなしに取り組んだ実績は、福岡市の国際都市としてのさらなる発展や広がりに資するものと考えております。さらに、大会開催を通じて水泳に取り組む方が増加することにより、市民の皆様の健康増進にもつながるものと考えております。
大会開催によってどのような経済的効果が生まれるのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
市民局長
大会開催による経済効果につきましては、大会に選手や関係者、観客など、延べ40万人から50万人が来場することにより、福岡市内で470億円程度の経済波及効果が見込まれております。また、国内外から多くの観客や参加者を迎え入れることで、福岡経済の活性化はもちろん、熊本市や鹿児島市との連携による周遊観光の促進により、九州経済の振興にも大きく寄与するものと考えております。
不可抗力である新型コロナウイルス感染症対策に多大な費用を要する可能性があるものの、大会を開催し、市民のほか市外からの観戦客やマスターズ参加者を受け入れることができれば、スポーツの振興や地域経済の活性化への効果は大変大きいものと考えます。加えて、2019年のラグビーワールドカップに続き、世界的な大会を開催した福岡市の国際的な存在感の向上も見込まれます。また、大会レガシーや大会開催を契機とした貴重な体験が市民にも還元され、大会効果は一時的なものではなく、未来にも引き継がれるものと考えます。
5月13日の大会開幕まで残り147日であります。残された時間はあまり多くありません。子どもたちをはじめ、広く市民に福岡で大会を開催してよかったと感じていただけるよう、しっかりと準備に取り組み、大会を成功裏に収めることを期待して、最後に、大会の成功に向けた市長の意気込みをお尋ねし、私の質問を終わります。
津田
信太郎
市長
世界水泳選手権につきましては、世界各国から集まるトップスイマーが目標とする夢の舞台と認識をしており、津田議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の感染動向に適切に対応できるように万全の対策を講じることによって、選手や関係者はもとより、市民の安全確保と大会成功の両立を目指してまいります。また、大会を通して、トップスイマーの活躍に間近で触れることによって次代を担う子どもたちに夢や希望を与え、スポーツの振興につなげていくほか、この大会が新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けた地域経済の復活のきっかけになるように、しっかりと準備に取り組んでまいります。さらに、世界中のメディアでの放送などを通して、このような大規模な国際大会を開催する国際都市福岡の都市ブランド力の向上につなげられるように、関係者の皆様と力を合わせながら万全の準備に取り組んでまいります。
本年7月には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本最年少で金メダルを獲得したスケートボードの西矢椛選手や、競泳で日本女子初の2冠を達成した大橋悠依選手などが活躍し、日本選手団は史上最多27個の金メダルを獲得するなど、子どもたちをはじめ、国民に夢や希望、大きな感動を与えたと感じております。新型コロナウイルス感染症の影響により、日程の延期や無観客での開催など、当初とは異なる形での開催となりましたが、安全、安心な大会を実現し、世界中から来日した選手の白熱した競技はもちろん、日本の文化やおもてなしに注目が集まる大会となったことは、日本国民としてとても誇らしく思います。
いよいよ来年5月には、ここ福岡で世界水泳選手権福岡大会が開催されます。マリンメッセ福岡をメイン会場に、190か国から2,400人のトップアスリートが集まる水泳界で最高峰の大会となります。前回の2001年の福岡大会から21年が経過し、人口が135万人から160万人に成長するなど、福岡市が元気あふれる都市であることを世界にアピールできる絶好の機会でもあります。福岡で開催される水泳界のビッグイベントを通じて、オリンピック以上の感動や興奮を与え、開催の効果を最大化すべきと考えており、大会成功に向けた準備状況について確認をしていきたいと思います。
まず初めに、オリンピックの水泳競技と比較して世界水泳の大会規模はどの程度なのか、お尋ねをいたします。