2022年06月17日
津田
信太郎
こども未来局長
子どもの視覚に関する異常や疾患といたしましては、炎症や出血等を伴う眼球内の疾患、屈折異常、斜視などがございます。
様々な病状があることに正直驚きましたが、視力に問題があることは将来ある子どもたちにとって大きなハンデとなり、ストレスとなることだと思います。私たちは直接的に病状を改善させることはできませんが、改善する可能性があるのならば、そのタイミングを逃すことなく、異常を気づかせること、治療へ導くことはできるかと思います。
それでは、本市の子どもたちへの視力検査はどのようなものがあるのか、状況を聞いていきます。
まず、本市の3歳児健診の視覚検査の取組概要についてお聞かせください。
津田
信太郎
こども未来局長
視覚検査につきましては、3歳児健診の検査項目の一つであり、視力を測定する検査を事前に家庭で行っていただいた上で、健診会場での医師による診察や保護者に対する子どもの目に関する問診を実施しております。
3歳児健診の視覚検査の結果で眼科の精密検査が必要と判断された過去3年間の人数を教えてください。
津田
信太郎
こども未来局長
3歳児健診で視覚に関する精密検査が必要と判定された人数は、平成30年度が511人、令和元年度が278人、2年度が648人となっております。
それでは、就学時健康診断の目的、取組概要を教えてください。
津田
信太郎
教育長
法令に基づき、翌年度の就学予定者を対象に実施しておりまして、就学に支障のある疾病等の疑いがあるお子さんをスクリーニングし、適切な治療の勧告、就学に関する助言を行うことなどを目的としております。本市におきましては、御地元の小学校を会場として、視力検査のほか、栄養状態や皮膚疾患の有無、歯や口腔の疾病などについて検査をいたしております。
就学時健康診断における視力検査の方法や令和3年度の検査結果について教えてください。
津田
信太郎
教育長
上下左右のうち、1か所が欠けた輪でありますランドルト環を用いた視力検査を実施しており、令和3年度の検査結果といたしましては、視力が0.3未満と診断された児童が656人、結膜炎などの目の病気と診断された児童が82人となっております。
視力検査については、答弁にもありますように、円の一部が欠けているランドルト環というものを、一定距離を取って、大きさを変えながら、その切れ目の部分が視認できるかどうかで判断する検査が一般的であります。近年の子どもたちは、スマートフォン、タブレット、ネットなどの目を酷使する時間が増えてきているのは確かだと思います。しかし、現在では機器の使用時間を制限するなどはできても、禁止することは難しく、眼鏡などでの矯正や眼科での治療などの対応になるかと思います。しかし、生まれながら視力に問題があっても、特に子どもたちはそれが異常なのか正常なのか判断することは難しく、やはり周囲の大人が気づくことが重要であります。
そのためにも、詳しく検査をすることにより病状を早期発見する必要があると思いますが、どのようにお考えですか。
津田
信太郎
こども未来局長
日本眼科医会作成の3歳児健診における視覚検査マニュアルによりますと、目の機能は3歳頃までに急速に発達し、6歳から8歳頃までにほぼ完成するとされており、早期発見と早期治療が重要であると認識しております。
それでは、3歳児健診の視力検査はどのような方法で行われていますか、教えてください。
津田
信太郎
こども未来局長
3歳児健診におきましては、まず、会場で健診を受診する前に、家庭において動物や花の絵が描かれた絵カードを使用し、視力を測定していただいております。
視覚検査には、主に視力検査と屈折検査の2つの検査があると聞きました。
それでは、屈折検査とはどのような検査なのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
こども未来局長
屈折検査につきましては、専用の検査機器を使用し、屈折、眼位等の検査を行い、遠視、乱視等の屈折異常などを調べるものでございます。
本市で実施されている乳幼児健診において屈折検査は実施をされていますか、教えてください。
津田
信太郎
こども未来局長
福岡市の乳幼児健診において屈折検査は実施いたしておりません。
屈折検査を実施するとしたら、専門医の配置、機材の導入など、環境整備が必要になってくると思いますが、よりスクリーニングの精度を上げるためにも、3歳児健診において屈折検査を実施したほうがよいと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
津田
信太郎
こども未来局長
3歳児健診における屈折検査の実施につきまして、引き続き他都市の状況把握や、健診会場で必要となる実施体制等の課題も含め、検討を行ってまいります。
検査方法はよく分かりました。眼科の先生いわく、視力検査と屈折検査を併用することが重要と言われていました。今後、屈折検査の導入に向けて、機器の整備など、しっかりと検討を進めていただきたいと思います。
次に、3歳児健診、就学時健康診断における直近で把握されている受診率はどのようになっているのか、教えてください。
津田
信太郎
こども未来局長
3歳児健診の受診率につきましては、令和2年度は97.5%でございます。
教育長
就学時健康診断の令和3年度の受診率は91.6%となっております。
繰り返して言いますが、早期発見が重要であります。そして、受診率の高さには正直驚きました。
この受診率は、保護者の意識の高さのみならず、市としても様々な対応をされていることかと思いますが、御教示ください。
津田
信太郎
こども未来局長
3歳児健診につきましては、法定健診として、健診時期に合わせ、個別に健診票を郵送することにより受診漏れがないよう努めるとともに、健診を受けていない御家庭にははがきの送付や保護者へのお電話、家庭訪問を行うことにより受診勧奨を行っております。
様々な努力があっての受診率の高さだと認識しました。未受診者ゼロを目指して頑張っていただきたいと思います。
本市の子どもたちの多くは、保育園、幼稚園に通っているかと思います。そのため、保育園や幼稚園においても視力などの異常を発見できれば、早期の治療につながる可能性があると思います。
ある保育園の園長先生とお話しする機会がありましたので、園児の視力のことをお聞きしました。園児の中には、ほかの園児とよくぶつかる子がいたり、ボール遊びが苦手であったり、見えにくいことでやや落ち着きがなかったり、段差が分からない子がいたりするそうです。先生たちは何か気づくと保護者に連絡をし、検診を勧めるそうですが、それ以上はできないそうです。保護者にしてみると、多くはお仕事でお忙しい中で、園での出来事を教えてもらっても、ふだんの生活で大きな支障が出ていなければ、検診を受けるほどのことではないと考えてしまうのも仕方がないのかなと思います。一方で、出来事だけではなく、例えば、園で実施した視力検査の結果を併せて伝えるのはどうでしょうか。きっとほとんどの保護者は事の重大さに気づき、検診を受けさせてみようと考えると思います。しかしながら、保育園で本格的な視力検査を行うのは大変であります。保育園で行うのであれば、できるだけ園や職員に負担のない方法で実施することも大切だと思います。
本市においては、一部の保育園で福岡市医師会が考案した方式で視力検査を行っていると伺いました。市内の保育園にて医師会が考案した方法で視力検査を実施している園が幾つあるのか、教えてください。
津田
信太郎
こども未来局長
福岡市医師会によりますと、令和3年度に福岡市医師会方式簡易視力検査を実施し、同会に報告を行った保育所は35施設となっております。
それでは、福岡市医師会方式の簡易視力検査はどのような方法で行われていますか。
津田
信太郎
こども未来局長
お尋ねの視力検査につきましては、保育所等において、できる限り実施する保育士等の負担が少なく、子どもたちにも分かりやすいように構築されたもので、4歳児クラスの児童を対象に、マニュアルに基づき、ランドルト環を用いて実施する検査でございます。
福岡市医師会方式の簡易視力検査は保育士等の負担を考えて考案されたものですが、ランドルト環を用いたものということであります。
ここで、一般社団法人みるみるプロジェクトが開発して推奨している保育園等での検査の方法を紹介します。この方法は、ランドルト環を、かじられたドーナツに見立てて、クイズ方式でどの動物が食べたかを答えてもらいます。(現物表示)これですね。そこにお座りになっておられます淀川先生を園児に見立てますと、私から約3メートル離れています。保育士の先生が「ドーナツを食べたのは誰だ」ということで聞くと、園児はこれだと「パンダ」と答えます。丸の切れ目を右とか、左とか、下とか、上とかと答えるんではなく、動物の名前で答えることによって、子どもたちは楽しく検査をできるということです。本来なら子どもたちは楽しく答えてくれるということです。検査の精度とスピードが上がるというふうにお聞きしました。
そして、私が持っていますこの絵本ですが、(現物表示)これは園でこのキットを使う前に、保護者の人と事前に、手元から30センチと、2メートル50センチ離れての検査の練習ができるための絵本です。ぜひ活用していただけたらと思います。
市内の子どもたちの多くが通う保育園等での検診は、3歳児健診で漏れた子どもたちへの対応にもつながるし、疾病に対する早期対処にもなると考えますが、御所見をお聞かせください。
津田
信太郎
こども未来局長
保育所等において簡易な視力検査によりスクリーニングを実施することは疾病等の早期発見に資するものであり、対応を検討してまいります。
先日、近所の眼科の先生にお話を聞く機会がありました。やはり本市が行っている視力検査のタイミングである3歳、それと6歳の子どもたちの診療が多いそうです。これは健診の効果が出ているとも言えますが、眼科の先生いわく、6歳の子どもたちの診療では病状が進んでいるケースが多く、なぜ早めに病院に来られなかったのかと保護者に注意することもあると言われていました。なぜ早めに検診を受けなければならないのか。視力は視神経の構築が大体7歳ぐらいで完成されてしまうということを知らなかったと言われる保護者も多いそうです。この発達前の段階で訓練をしておけば、弱視は治る見込みがある病気だそうです。ただ、視神経の発達以降、そういった訓練を受けても、治る可能性というものが非常に下がってくるということであります。なので、弱視というものに対しての治療というものは8歳ぐらいまでに完結する必要があるというふうに先生はおっしゃっておられました。
本市においては、残念ながら3歳児健診、そして就学時健診の間というものに視力検査がすっぽりと抜けている状態であります。先ほども述べましたように、これは8歳前、7歳前ぐらいに見つけて治療すれば治る可能性がある病気ですので、保育園や幼稚園での視力検査によるスクリーニングは非常に重要だと私は考えています。人の視力は、生まれたときからはっきりと物が見えているものではなく、生後、徐々に発達し、成長するにつれて近くから見えるようになり、個人差はあるようですが、8歳ぐらいでほぼ成人と同様に完成をします。ですから、まずは3歳児健診で視覚検査をすることで屈折異常を発見し、弱視の治療につなげることは私たち保護者である大人や関係者の重要な責任でもあると思います。しかしながら、3歳児健診の受診率は100%ではありません。また、子どもによってはその日に測れない場合もあるので、検査から漏れる子どもの対応をどうするのかが重要な課題となり、家庭での視力検査の在り方や保護者への啓発の重要さが明らかであると思います。
そういった重要な時期とも言える保育園、幼稚園に通う園児に対する視力検査によるスクリーニングの必要性を述べてまいりました。先ほど市内で医師会方式の簡易検査を実施している保育園は35か所という御答弁がありましたが、まだまだ浸透し切れていないのが現状であり、先ほど御紹介しましたドーナツ検査も含めて、市内各園には検査の必要性を説明しながら、より拡大する必要があると考えています。
また、就学後においても、子どもたちの視力において大きな変化が起きています。遠見視力、遠いものがどれだけ見えるのか、近見視力、近くのものがどれだけ見えるのか、いわゆる遠視、近視、乱視といわれる屈折異常であります。本市でもGIGAスクール構想によりICT教育が推進される中、全ての児童生徒に小学校1年生からタブレット端末やパソコンを使った授業が展開されています。これまでの黒板中心の授業形態では、黒板の文字が見える視力が必要であり、5メートルの距離で視力検査を行っていたと思いますが、パソコンやタブレット主体の授業形態になると、近くの文字が見える視力が必要となります。遠くを見るときの目と近くを見るときの目の仕組みは違い、遠くが見えても近くが見えていない子どももいます。子どもたちは次第に見えてくるようになるので、はっきり見えた経験がなく、自分から近くが見えにくいと訴える子どもがどれだけいるでしょうか。大人は遠くが見えていれば近くが見えていると思っているので、学校の視力検査で異常なしであれば、まさか近くが見えていないとは思わないでしょう。
就学前に目の異常を見つけ、受診、治療へとつなげていく重要性を鑑み、視力検査、屈折検査の併用、そして、検査のタイミングはしっかり検討していただきますよう要望をいたします。
治療可能なタイミングを逃すことは、そのハンデを一生背負っていかないといけなくなります。眼科の先生が、視力は子どもの財産ですとおっしゃっておられました。とても印象的な言葉でありました。全ての子どもたちの健康の保持、増進を図り、視力不良に陥ることなく、健康に円滑な学校生活を送れるよう、全ての保育園や幼稚園での視力検査が早期に実施されることが必要だと考えます。本市の保育園にて検査が広まれば、自然と幼稚園にも検査の必要性が浸透していくと思いますので、保育園での視力スクリーニング検査の実施について、医師や関係団体ともしっかりと協議をしながら、前向きに検討していただくよう要望し、私の質問を終わります。
津田
信太郎
私たち人間が認識する情報のうち、約80%が視覚によるものと言われています。正しく物を認識することは、脳の発達や心身の成長を促します。見ることで絵を描いたり、ボールをキャッチしたり、障害物をよけたり、物を見て様々な感情を抱くなど、目は物を認識するのに最初の大事な入り口であります。特に将来ある子どもたちにとって、見る力を正常に伸ばすことは、健全な成長や発達に直結するものであります。
そこで、現在、視力検査は3歳児健診でも行われていますが、必ずしも視力異常を発見できていない状況にあり、それ以降の視力検査が小学校入学時になりますので、視力が発達する4歳から5歳の視力検査が重要になってきます。このことは質問の中でも何度も繰り返して言っていきます。
平成22年3月に文部科学省から各自治体へ、幼稚園、就学時における視力測定実施についての文書が出され、幼稚園だけでなく、保育園でも視力検査が実施されるようになりましたが、現状はまだまだ浸透していない状況だと思います。
今回、子どもの視力、見る力について質問をしていきます。
まず、本市の子どもたちの視覚に関わる異常や病状とはどのようなものがあるか、教えてください。