議会質問

博多湾のアサリ資源の保護回復についての質問

2014年10月10日

博多湾は、志賀島、能古島など風光明媚で自然に恵まれた海域であり、また、魚介類の産卵場所、稚魚、幼魚の保育場及び生息場所として重要な海域でもあるが、地球温暖化などによる漁場環境の悪化によって漁獲量が年々減少し、このままでは「魚がおいしいまち福岡」を守ることができるのかと大変危惧している。このような状況の中、博多湾で日々漁を行っている漁業者は、漁業活動の際に網にかかった海底ごみを持って帰って処分したり、海底の底質を改善するために海底耕うんを実施するなど、博多湾の漁場環境保全のために大変な努力をしている。また、漁場環境の回復には、博多湾だけの活動だけでは改善されない。ミネラルを多く含んだ水が豊かな漁場を育むことから、例年11月には、漁業者、林業関係者、市民ボランティア団体が、険しい森林に分け入り植林活動を実施している。博多湾のアサリについて、海洋レクリエーションとしての潮干狩りは、季節感を体感でき、博多湾の恵みを食するまたとない機会であり、特に室見川河口域は、老若男女を問わず誰でも潮干狩りをすることができる市民の憩いの場として親しまれ、毎年多くの市民が潮干狩りを楽しんでおり、また、室見川河口にてとれるアサリは大変おいしいという評判でもある。しかし、昨今アサリ資源がかなり減少し、市民からは「昔はたくさんとれていたのに、貝が全くいなくなった」「今後、潮干狩りはどうなるのだろうか」などの声が多く出ている。また、博多湾で操業している漁業者の大半は軽油を燃料とする漁船漁業であり、燃油高騰などにより漁業者を取り巻く環境は悪化しているため、燃油消費の少ない漁業への転換が求められており、アサリは省エネ型漁業の対象として貴重な漁業資源でもある。一方、アサリはすぐれた水質浄化機能を有しているため、アサリが生息することによって博多湾の水質も改善されているとのことである。このように重要なアサリ資源の保護については、今後とも継続的かつ積極的な施策が必要と考えており、その取り組みについて質問をする。まず、博多湾全域においてアサリの生産量が少ないと聞いているが、過去5年間の博多湾のアサリの生産量はどのようになっているのか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

平成21年が94トン、平成22年が22トン、平成23年が37トン、平成24年が44トン、平成25年が23トンである。

アサリの生産量は、平成21年には94トンであったものが平成22年には22トンと激減し、さらに平成24年には44トンであったものが平成25年には23トンと半減しているが、その要因をどのように分析しているのか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

平成21年から22年に減少した要因は、ヒトデの大量発生による食害などによるもの、平成24年から25年に減少した要因は、記録的な猛暑による海水温の上昇などによるものと考えている。

博多湾の各地先の現状はどのようになっているのか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

ことし5月から6月にかけて実施された福岡県水産海洋技術センターの分布調査によると、姪浜地先、伊崎地先で多量の稚貝が確認されている。また、能古地先でも稚貝が確認されたが、両地先と比べると少なかったと聞いている。

多くの市民が潮干狩りを楽しんでいる室見川河口域でも、数年前はアサリがたくさんとれて、潮干狩り客でにぎわっていたが、ことしのゴールデンウィークにはアサリがほとんどいなかったと聞いている。室見川河口域のアサリ資源量の現状及びアサリが減少した要因を尋ねる。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

室見川河口域のアサリについては、福岡県水産海洋技術センターの推定資源量調査によると、平成21年5月時点で約220トンあったが、平成21年7月の大雨により土砂の流れ込みがあり、8月には約43トンまで激減した。その後、23年度及び24年度にシーサイドももち海浜公園から同河口域へ移植放流を実施して、平成25年3月には約150トンまで回復したが、平成25年夏場に海水温が上昇したことや大雨による土砂の流れ込みにより、平成26年3月には約0.4トンと激減した。平成26年7月にアサリ推定資源量調査を実施した結果では、平均17ミリの稚貝を約40トン確認している。

ここ数年、室見川河口域のアサリ資源の状況は大変厳しいものとなっているようだが、博多湾のアサリ資源の回復に向け、25年度はどのような事業を行ったのか、また、その決算額を示されたい。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

25年度のアサリ資源保護に係る事業内容及び決算額は、室見川河口域アサリ資源量調査に76万7,000円、シーサイドももち海浜公園及びマリナタウン海浜公園アサリ資源量調査に59万8,000円、能古におけるアサリ再生事業に72万2,000円、能古地先の覆砂に1,011万8,000円、博多湾におけるアサリ種苗放流に340万円である。

資源保護には継続的な取り組みが必要であるが、26年度はどのような事業を行っているのか、また、その予算額を示されたい。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

26年度は水産資源生育環境調査に400万円、海浜公園アサリ資源量調査に65万円、能古におけるアサリ再生事業に72万5,000円、博多湾におけるアサリ種苗放流に213万5,000円である。

博多湾のアサリ資源対策には、限られた予算の中で積極的に取り組まれているようだが、アサリ資源対策は、市だけでは技術的、予算的にも対応が大変難しいと考えられる。漁業者、国及び県と連携して取り組むほうが効果的と思うが、現状ではどのような連携をとっているのか。

議会質問

津田
信太郎

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農林水産局長

国、県、漁業者との連携であるが、アサリ資源の管理について本市及び県で構成する博多湾アサリ資源保護対策研究会において、情報共有、資源回復のための対策についての協議を行っている。また、伊崎、姪浜、能古の各地先で漁業者を中心とする活動組織が、水産庁が25年度から3カ年で実施している水産多面的機能発揮対策事業を活用して、海底耕うん、死殻や有害生物の除去、アサリ種苗放流などの干潟保全活動を行っている。これらの活動組織に対し、本市や県などで構成する福岡県環境・生態系保全対策地域協議会が支援を行うなど、国、県、漁業者と連携して博多湾内のアサリ資源の保護対策を進めている。

アサリ資源保護対策のため、漁協や漁業者の努力は大変なものだと思っているが、アサリ資源は博多湾全体に広がることであり、漁業権がない地域にも取り組みを広げていく必要もある。今後も、博多湾アサリ資源保護対策研究会を中心に活動を広げられたい。次に、多くの市民が家族連れなどでレクリエーションとして潮干狩りを楽しんでいるが、年によってはアサリ貝が少ない、もしくはほとんどいないというような年もある。昨年度のように、海水温の上昇や大雨などの気象の変化を受けて激減したり、ヒトデなどの大量発生による食害でアサリ資源の量が減ったことも一因であるとは思うが、多くの市民がルールを守って潮干狩りを楽しんでいる中、規則で決まっているよりも小さい稚貝をとったり、禁止されている漁具を使用したりと、ルールを守らない人がいるために、資源がなくなるのではないかなどの苦情もしばしば耳にする。市民から寄せられるアサリに関する相談はどのような内容か。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

広聴課に寄せられた相談の中には、小さなアサリをとっている人がいるとか、アサリが減ってきているので1年ごとに禁漁にしてはどうか、という提案もあった。広聴課に寄せられたもののほかに、潮干狩りのルールの内容についての確認などの電話相談があっている。

市民がアサリの稚貝の保護やアサリ資源の保護に関しては憂慮していることがうかがえるが、博多湾においてはアサリ資源の保護のため、どのような規制が設けられているのか。また、潮干狩り客のマナー向上も大変重要だと思うが、どのような対策をとっているのか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

博多湾におけるアサリ資源保護については、福岡県漁業調整規則や筑前海区漁業調整委員会指示などでアサリ採捕の規制が設けられている。福岡県漁業調整規則に基づくものは、3センチ以下のアサリを採捕、所持、販売してはならないとなっている。筑前海区漁業調整委員会指示に基づくものは、東区大字志賀島夫婦石埼鼻と西区今津大原津舟埼を結んだ直線と陸岸によって囲まれた海域については、ポンプを使用してアサリを採捕してはならない、東区西戸崎東端と西区小戸妙見岬を結んだ直線と陸岸によって囲まれた海域については、間口35センチ以上のじょれんを使ってアサリを採捕してはならない、室見川河口域、シーサイドももち海浜公園についてはじょれんを使用してアサリを採捕してはならないとなっている。次に、潮干狩り客のマナー向上のための対策については、室見川河口域に規制の内容や対象海域を記した啓発看板を設置しており、潮干狩りのシーズンにはアサリ採捕の規制について市政だよりによる広報や、県と協力してチラシ配布による市民への周知を図っている。

以前の博多湾は、干潟を掘ればアサリがたくさんとれる海であり、水質や底質もよく、海藻類や水産生物も多種多数生息していたが、近年の都市化や異常気象などにより、漁業及び水産資源の再生機能に支障を来しており、また、博多湾が閉鎖的な海域であることも重なり、博多湾の環境は大変厳しい状況になってきている。昔のように干潟や砂浜にアサリがたくさんいたころは、アサリが博多湾をきれいな海にしていたのではないか。アサリの生息が水質浄化にどのように寄与していると考えているのか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

アサリは水中の植物プランクトンや有機物などをえらでろ過して食べており、文献によるとアサリがろ過する海水の量は3センチのアサリ1個では1時間当たり1.5リットルと言われており、その海域の水質浄化に大きく貢献していると考えている。

アサリ資源は、市民にとっての海洋レクリエーションとしての潮干狩り、魚業者にとっての貴重な漁業資源、さらには博多湾の水質浄化の機能を持ち、環境保全にとっても重要なものであると再認識した。今後、博多湾のアサリ資源保護の対策にどのように取り組んでいくのか。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

現在、室見川河口域のみでなく博多湾全域のアサリ資源量が極めて少なく、湾内のアサリ幼生ネットワークが機能していないため、資源増加が難しい状況にある。資源回復のためには、アサリの母貝の増大が重要であることから、漁場環境の改善に加えて生育環境及び人工での種苗生産、育成などについて、福岡県水産海洋技術センターの指導、協力のもとに取り組んでいる。今後とも県や漁業者などと連携して、博多湾全域におけるアサリ資源の保護、回復に取り組んでいく。

博多湾のアサリは貴重な漁業資源であるだけでなく、「魚がおいしいまち福岡」を支える大切な水産資源でもあり、また、潮干狩りは四季を感じられる市民レクリエーションの場となっている。一方、アサリは高い水質浄化機能を有しており、アサリが生息することで博多湾の水質を浄化し、生物が生まれ育つ博多湾を育む助けになっていることや、限りある資源であるとともに市民の財産でもあることから、市民にはさらなるマナーの向上、また、市においてはルールの周知徹底など、しっかりと取り組まれたい。また、博多湾におけるアサリ資源の保護については漁業者、漁協、国及び県と連携協力し、継続して取り組んでいくことを強く要望する。

議会質問

津田
信太郎

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津田信太郎 市政相談所

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