2017年12月14日
津田
信太郎
経済観光文化局長
平成25年度の商店街実態調査の結果をどのように活用したかのお尋ねでございますが、実態調査の結果を踏まえ、平成26年度に外部の有識者や商店街関係者から構成する商店街支援施策検討委員会を設け、議論を重ねた結果、地域との共働や人材の確保などが課題であるとの御意見をいただいたところでございます。この御意見を踏まえ、商店街と地域との共働に向けた取り組みや商店街を支える人材の確保、育成に向けた支援など、商店街支援施策の見直しに活用したところでございます。以上でございます。
商店街支援施策については、ただいま述べられたように、平成25年度の商店街実態調査の結果に基づく商店街支援施策検討委員会の提言を踏まえ、既存施策の見直しを図られているようですが、商店街の人材に関する施策について、見直し前、それと見直し後ではどのような違いがあるのか、お尋ねいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
商店街の人材に関する施策の見直し前と見直し後の違いについてでございますが、見直し前におきましては、商店街の内部人材である役員及び会員の育成を中心に支援を行ってきたところでございます。平成25年度の商店街実態調査の結果や平成26年度に設置した商店街支援施策検討委員会からの御意見を踏まえ、これまでの商店街の内部人材の育成に加え、商店街の新規会員をふやす商店街内部人材の確保や、商店街以外の地域団体などの外部人材と連携した事業を促進するよう支援の見直しを行ったところでございます。以上でございます。
商店街内部だけではなく、外部との連携について見直しを図られたとのことでありますが、現在、商店街内部人材の確保、育成としてどのような事業を行っているのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
商店街の内部人材の確保、育成に関する具体的な事業についてのお尋ねでございますが、まず、商店街空き店舗における創業応援事業では、内部人材の確保を図るため、商店街への加入を義務化し、空き店舗へ出店、創業される際の経費を一部支援しております。次に、商店街活力アップ講座事業では、商店街の内部人材の育成を図るため、商店街の勉強会や講習会に対し、専門家などを派遣しております。また、商店街活力アップ講座事業につきましては、近年、福岡商工会議所などと連携し、商店街を対象にインバウンド対策セミナーを実施しており、今年度も宮崎県日南市の油津商店街の再生に取り組まれた木藤亮太氏を講師に迎え、人材の確保をテーマとしたセミナーを開催する予定でございます。以上でございます。
ただいまお答えいただいた事業についてどのような効果があったのか、お尋ねいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
商店街の内部人材の確保、育成に関する具体的事業の効果についてでございますが、まず、商店街空き店舗における創業応援事業のおかげで、商店街への加入にとどまらず、商店街の役員に選出された若手創業者もおり、商店街における世代交代につながっております。また次に、商店街活力アップ講座事業におきましては、平成27年度に開催した商店街インバウンド対策セミナーを受講された商店街の会員が中心となって、翌平成28年度にインバウンド対策勉強会を開催され、その結果、平成29年度にはFukuoka City Wi-Fiの導入を初め、多言語表記による案内看板や商店街マップの作成など、インバウンド受け入れ環境整備につながっております。以上でございます。
福岡市においては、商店街の内部人材だけではなく、外部人材との連携への支援にも取り組まれているとのことでありますが、市内の商店街は、どちらかというと商店街への会員加入促進や役員、会員のレベルアップのための勉強会の開催等、内部人材の確保や育成を中心に取り組みを進められてこられたと思います。しかし、それだけではこれからの活動は厳しくなると考えています。
福岡市では、共創によるコミュニティづくりを掲げ、自治協議会や企業、商店街、NPO、大学、行政などのさまざまな主体がお互いの役割と責任を認め合い、相互関係、パートナーシップを深めながら知恵や力を合わせ、長所や資源を生かして、ともに協力し合って地域の未来をつくり出していくこととしています。
私の地元である藤崎商店街では、商店街単独で取り組んでいる事業もありますが、藤崎、高取という立地環境や周辺の観光資源を活用して、現在では隣接する商店街と協働するとともに、近隣の大学と連携をし、地域住民の憩いの場を提供する夜市を開催しています。また、藤崎から西新に至る複数の商店街が地域団体や大学、NPO法人、民間企業、早良区役所など、さまざまな主体と相互に協力を行い、サザエさんや勝鷹水神といった地域資源を生かしたまちづくりやイベント、地域活性化策の一環としてインバウンド対策にも取り組まれるなど、線ではなく、面として地域ぐるみの取り組みに頑張っておられます。私はまさに地域における商店街は、内部人材だけに頼るのではなく、商店街以外の外部人材、例えば、自治協議会などの地域団体、NPO法人、大学、民間企業などのノウハウとタッグを組んで地域のニーズに応えていかなくてはならないと考えています。
そこで、先ほどの質問では、商店街内部の人材確保、育成についてお尋ねをいたしましたが、現在実施されている外部人材との連携を促進するような商店街支援策について、その具体的な内容をお尋ねいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
商店街の外部人材の連携を促進する具体的事業についてのお尋ねでございますが、まず、地域との共生を目指す元気商店街応援事業では、商店街が外部人材の地域団体と連携して、安心、安全や買い物弱者対策などの取り組みを行う場合、その経費の一部を支援しております。また次に、商店街と地域との連携による魅力向上事業では、商店街と自治協議会などの連携を促進するため、意見交換、協議の場づくりを支援しております。また、商店街活性化パートナー発掘事業では、福岡地域戦略推進協議会、FDCと連携し、民間企業など外部からの新たな事業アイデアの提案やその実現に即したパートナーの発掘を支援しております。以上でございます。
同様に、ただいまお答えいただいた外部人材との連携を促進する事業についてどのような効果があったのか、お尋ねいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
商店街の外部人材との連携を促進する具体的事業の効果についてでございますが、まず、地域との共生を目指す元気商店街応援事業におきましては、NPO法人と連携した買い物弱者対策や不動産事業者と連携した高齢者と子どもが交流できる施設の開設など、社会課題の解決につながっております。次に、商店街と地域との連携による魅力向上事業では、商店街が地域情報も掲載したマップを自治協議会とともに作成し、全戸配布するなど、地域における新たな事業の創出につながっております。また、商店街活性化パートナー発掘事業では、農業生産法人の協力を得た産地直送の無農薬野菜の販売や、大学をパートナーに迎え、商店街をブランディング化する事業も実施されております。以上でございます。
私は先日、全国的にも有名な札幌市の中心部にある狸小路商店街に視察に行かせていただく機会を得て、商店街でのさまざまな取り組みについて伺ってまいりました。中でも特に驚かされたのが、狸小路商店街の理事長さんが強力なリーダーシップを発揮され、精力的に商店街を構成する会員店舗の方々を集め、コミュニケーションをとりながら、商店街内での横のつながりを構築されていたことであります。お互いの顔が見える関係をつくるとともに、これからの商店街活動を引っ張っていく新たな人材の育成の一環ということでありました。
先ほどより福岡市のこれまでの商店街人材の育成、確保に関する施策について伺い、一定の効果があったとは理解できました。しかしながら、今は昔と違い、商店街役員を投票で決めるほど人材に恵まれていた時代から、頼むから役員になってほしいという人材が不足する時代になっているとも伺っております。こうした状況からも、これからはこれまでの商店街組織を対象とした人材に関する支援を行うのではなく、熱意や能力を兼ね備えたリーダー的存在を若い会員や女性の中から育てる施策もあっていいのではないかと思います。
そこで、福岡市として、このような施策についてどのように考えているのか、所見をお尋ねします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
新たな人材育成に関する御提案についてでございますが、平成29年度に実施しております商店街実態調査の中間報告におきましても、人材に関する課題を抱えている商店街が多く見受けられております。こうしたことから、津田議員御指摘のとおり、新たな観点から商店街支援施策の見直しを図ることは大変重要なことであると認識しております。特にこれからの商店街を担う若い会員や女性が商店街の垣根を超えて、活性化に向けたアイデアや悩みを相談し合ったり、切磋琢磨できるような場を設け、商店街の新しいステージを牽引するリーダーを育成する必要があると考えており、引き続き商店街支援施策のあり方についてしっかりと検討してまいります。以上でございます。
ぜひ次世代の商店街を担う熱意や能力を持った人材を発掘、育成し、それぞれの商店街の垣根を超えて、福岡市の商店街全体を牽引するリーダーを育てる取り組みを積極的に進めていただけたらと思います。
これまで特に商店街の人材の確保、育成について伺ってまいりました。平成25年度の商店街実態調査の結果を踏まえ、商店街支援施策検討委員会からの提言のうち、地域との共働、そして、多様な人材の確保といった人材に関する課題解決については、これまで答弁をいただいたように、さまざまな支援がなされています。しかしながら、商店街組織ということを考えれば、そもそもの根底には集客力、販売力の強化という課題があります。商店街を構成する個店を磨き上げ、商店街に集客を図ること、あるいは商店街の持つ遊休資産を活用した新たな収入確保など、ポテンシャルのある商店街を稼げる商店街へと導き、その成果を他の商店街に波及させるような支援なども考えられるかと思います。今年度実施中である商店街の実態調査については、商店街の生の声を伺う絶好の機会でありますので、その調査結果をもとに商店街の支援施策をしっかりと見直していただき、多くの商店街に満足していただけるものとなるように期待をいたしております。
そこで、この質問の最後に、本市の地域経済及び地域コミュニティにとって大変重要な役割を担う商店街支援の今後についてお尋ねをいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
商店街支援の今後についてでございますが、商店街は地域の資産であり、地域経済及び地域コミュニティにとってなくてはならない存在であります。商店街が活性化し、今後も重要な役割を担っていくためには、議員御指摘のとおり、商店街を構成する個店の魅力を磨き上げるとともに、アーケードなどの共同施設を活用した有料広告による収入確保など、それぞれの商店街が持つポテンシャルを最大限引き出すことで販売力や集客力の強化につなげることは重要な視点であると考えております。商店街というインフラは、新たに創業を目指す方々にとってもチャレンジする場であるため、若者や女性など新しい感性を持った人材を支援しながら、それぞれの地域において商店街が地域コミュニティの担い手として生き生きと活動することができるよう、商店街の支援に努めてまいります。以上でございます。
商店街は地域住民の日常の買い物の場を提供する地域経済の担い手であるとともに、地域の交流、にぎわいの場を提供する地域コミュニティの担い手としても地域の活力を支える重要な存在であります。地域において、こうした重要な役割を担い、地域住民や消費者の方々からの買い物の場として、品ぞろえや業種構成、サービスの充実等が求められる一方で、地域団体である自治協議会と同様に、高齢化や安心、安全などの地域課題の解決などへの役割も期待されており、最近は本来の商業機能としての役割よりも、コミュニティの担い手としての役割がクローズアップされてきていると感じております。
こうした状況の中にある市内の商店街に対し、平成25年度に福岡市が実施した商店街実態調査の結果を見ると、商店街が抱える問題点という問いに対し、最も多い48.2%の商店街が商店街役員の担い手が不足していると答えており、2番目に多い33.9%の商店街が次世代を担う若手がいない、また、22.3%の商店街がリーダーがいないと回答するなど、人材に関する課題が多くを占めています。また、役員の平均年齢も60歳代が平成21年度の実態調査結果の41.4%から平成25年度は45.5%となっており、明らかに高齢化が進んでおります。会員の平均年齢は40代から50代が多くを占めていますが、役員については60歳代以上の割合が高くなっているとともに、役員の平均在職年数が10年以上の方が全体の23.2%、6年以上になると全体の42.8%に達するなど、役員の世代交代が進んでおらず、商店街が抱える問題のトップである商店街役員の担い手が不足しているといった状況が顕著にあらわれています。しかも、都心部にある広域からのお客様をターゲットとしている商圏範囲の広い超広域型や広域型の商店街よりも、地域の住民の方々により近い存在である近隣型や地域型の商店街が人材に関する課題を抱えている割合が高いことも結果として出ております。こうした状況では、商店街は地域住民や消費者からの地域コミュニティの担い手としての期待に応えることが困難となり、近隣型や地域型の商店街のような地域に目を向けている商店街が衰退してしまうのではないかと危惧をいたしております。
こうした状況も踏まえ、私は商店街、特に商店街における人材の確保や育成について質問をしていきたいと思います。
平成25年度に市内全商店街を対象とした実態調査が行われていますが、その結果はどのように生かされたのか、お尋ねをいたします。