議会質問

家庭ごみの収集についての質問

2020年06月18日

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、緊急事態宣言が出されるなど、これまでの生活様式が大きく変化する中で、外出自粛により市民の在宅時間が増加し、自宅での飲食の機会が増えるとともに、この機に大掃除を行った家庭も多く、家庭から出されるごみの量が増加していると聞いております。しかし、このような状況下でも、これまで同様、夜に出された家庭ごみは、ごみ収集に従事する皆さんにより翌朝にはきれいに収集されております。収集現場では使用済みのマスクやティッシュなどによる新型コロナウイルス感染症への感染リスクが常時付きまとう中で、自らの感染リスクもありながら、市民生活を支えている従事者の皆さんに改めて感謝の意を伝えたいと思います。
 これまでは当たり前と思っていたごみ収集について、最近、多くのマスコミ報道等によりごみ収集従事者の皆さんが最前線で活躍される姿や作業の大変さを市民が目にする機会が増え、ごみ収集やごみ出しについて、市民の意識にも変化が見られているのではないかと感じています。ごみ収集はどのような状況でも欠かすことができない業務であり、たとえ大雨や台風、積雪のときであっても、ごみ収集に従事する皆さんは休むことなく収集を行っていただいております。また、自らのまちだけではなく、他都市において地震や大雨で被害が出た際には災害で出た膨大なごみの処理にも協力していただいております。
 このように私たちの生活になくてはならないごみ収集でありますが、福岡市は全国でも珍しい夜間収集を行っており、昼間のまちにごみ袋がないため、国内外から訪れた方々からもきれいな都市であると、よく耳にします。以前、私が住んでいました名古屋市や海外の都市では、ごみの収集は昼間に行われ、朝の出勤時にはごみ袋をよく見かけましたし、時にはカラス等に荒らされたごみが散乱している光景や、ごみ収集車が昼間にスピードを落として収集するため、交通渋滞を引き起こしている状況を目の当たりにしてまいりました。福岡市の家庭ごみの夜間戸別収集システムは、他都市で生活したことがある私自身、非常によく考えられたシステムだと感じておりますし、直近の市政アンケート調査においても、市民の方から高い満足度を得ております。ごみ収集が注目されているこの時期に、市民の皆さんにも新型コロナウイルス感染拡大防止のためのごみの出し方をはじめ、家庭からどのくらいごみが出ているのか、また、分別状況など、自らが出すごみのことを知っていただくことは大変重要だと考えます。
 そこでまず、福岡市の家庭ごみの夜間戸別収集システムがどのような経緯で確立されていったのか、改めて福岡市の家庭ごみ収集の歴史と、どのような理由で夜間収集に移行していったのかをお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

福岡市の家庭ごみの収集の歴史と夜間収集へ移行した理由につきましては、福岡市のごみ収集は明治24年に福岡市掃除定則を制定し、ごみ収集を民間委託したことにより始まっております。かつてのごみ収集は主に農家の方々が兼業する形で行っており、農作業をする前の早朝に馬車やオート三輪で収集しておりました。その後、昭和32年に家庭ごみの週2回の戸別収集を開始し、この頃からモータリゼーションの進展に伴い、年々深刻化する交通渋滞を避けるために夜間収集へ移行しております。その後、昭和41年に燃えないごみ、昭和49年に粗大ごみの分別収集を開始いたしました。また、平成12年度から空き瓶・ペットボトルを加えた4分別収集となり、その後、平成17年10月に家庭ごみの有料化を行い、現在に至っております。

昼間にごみの収集をしている都市では、カラス等による被害が問題となっていることをよく耳にしますが、昼間に収集する方法と比較して夜間収集はどのような効果があるのか、お尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

夜間収集の効果につきましては、昼間の街角にごみ袋がなく都市の美観を確保できること、夜間は交通量が少なく収集効率がいいこと、昼間の交通渋滞を緩和する効果があること、カラス等の被害が抑制できることなどの直接的な効果に加えて、犯罪等が発生しやすい時間帯である深夜から早朝にかけての街頭犯罪を抑止する効果もあることなどのメリットがございます。一方で、夜間に作業を行うことから、ごみを収集する際の騒音などに十分気をつける必要がございますが、夜間収集に関する市政アンケート調査では約98%の市民に御満足していただいております。

ただいまの局長の答弁にございました犯罪等が発生しやすい時間帯の街頭犯罪の抑止効果とはどのようなことでしょうか、防犯への寄与など、具体例についてお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

ごみ収集における防犯への寄与につきましては、平成15年12月から福岡県警と連携し、福岡市の夜間収集システムを活用して、ごみ収集業者が知り得た治安に関連する情報を県警に提供しております。具体例といたしましては、これまで不審人物や不審車両、路上で倒れている人物などを発見した際、その都度、県警へ情報を提供しております。また、犯罪や事故現場に遭遇した場合などは、県警からの要請により、ごみ収集車両に搭載しているドライブレコーダーの映像を提供することもございます。さらに、防犯以外でも火災の早期発見や消火活動、交通事故への迅速な対応、認知症高齢者の自宅への見送りなどの実績がございます。

福岡市では、家庭ごみの収集で1日何人の作業員が何台の車両で夜間に活動し、何世帯分を収集しているのか、お尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

家庭ごみの夜間収集体制につきましては、1日当たり作業員564名、車両188台により、燃えるごみ、燃えないごみ、空き瓶・ペットボトル全体で約35万世帯分を収集しております。

市民の目が行き届きにくい深夜の時間帯にそれだけの人数と車両が各世帯を巡回しているということは、犯罪の抑止効果としても大いに貢献しているのではないかと感じます。
 夜間収集は都市の美観の確保、収集効率、昼間の交通渋滞を緩和するなどの面でメリットが大きいことは理解できますが、本市以外で夜間収集を行っている政令市はどのくらいあるのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

政令指定都市で家庭ごみの夜間収集を行っている都市は、福岡市だけでございます。

現在の夜間戸別収集は他都市に誇れるシステムだと思います。これはごみ収集に関わる人の尽力によって成り立つ仕組みであることは忘れてはならないと思いますので、今後とも継続していただきたいと思います。
 次に、平成17年10月に家庭ごみの有料化を行っていますが、改めて家庭ごみの有料化を行った目的をお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

家庭ごみの有料化の目的につきましては、ごみ減量・リサイクルの行動を起こすきっかけをつくること、負担の公平性の確保及びごみを出す全ての市民がその処理やリサイクルに責任を持つという排出者責任の明確化を目的として始めた制度でございます。

有料化の目的の一つに、ごみ減量のきっかけづくりとありましたが、家庭ごみの有料化直前と直近の家庭ごみの処理量の増減についてお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

家庭ごみ処理量につきましては、有料化開始前の平成16年度に32万2,399トンであったものが、令和元年度の実績見込みでは29万2,077トンとなり、平成16年度と比較して3万322トン、9.4%の減となっております。

家庭ごみの有料化以前と比べ、令和元年度のごみの量は減少しているようでありますが、家庭ごみの有料化直前と令和元年度の福岡市の人口の増減についてお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

家庭ごみの有料化開始前の平成16年10月現在の推計人口139万人余に対し、令和元年10月現在の推計人口は159万2,000人余で、平成16年と比較して20万2,000人余、14.5%の増となっております。

福岡市の人口は家庭ごみの有料化以前の平成16年度から20万人ほど増加し、その一方で、家庭ごみの量は減少しているようでありますが、これは市民一人一人のごみを出す量が減少したということであろうと思います。
 そこで、家庭ごみの有料化直前と令和元年度の市民1人当たりのごみの処理量の増減についてお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

市民1人1日当たりのごみ処理量につきましては、家庭ごみの有料化開始前の平成16年度が635グラムに対し、令和元年度の実績見込みは501グラムで、平成16年度と比較して21.1%減量していただいております。

市民一人一人の取組が家庭ごみの減量・リサイクルにつながっていると思いますが、福岡市がこれまでに取り組んできたごみ減量施策についてお尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

家庭ごみの減量施策につきましては、市民の自主的、自発的な取組を促進するため、環境教育や広報、啓発による人づくり、資源物回収拠点などの3Rの基盤整備、環境市民ファンドを活用した地域集団回収に対する報奨制度や3Rの実践行動を促進する啓発事業等、市民のごみ減量・リサイクル活動に対する支援などを行っております。

ごみ減量・リサイクルの推進については、これからも継続して取り組んでいただきたいと思いますが、ごみ出しのルールについても、市民の皆さんにしっかり守っていただきたいと感じています。ごみ収集作業に従事している皆さんは、新型コロナウイルス感染症感染への不安を抱えながら収集業務を継続しています。他都市では、ごみ収集作業員の感染により、一部の事業所が一時閉鎖になったところもあると聞いております。
 そこで、福岡市では、ごみ収集業者の皆さんの感染防止策に対し、どのような対策や支援をされてきたのか、お尋ねいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

環境局長

ごみ収集業者の感染防止策につきましては、まず、福岡市から収集業者に対し、感染症予防に関する環境省通知などの情報を適宜提供しており、出勤前の検温、収集作業時の手袋、マスクなどの使用、作業終了後の手指消毒、収集車両の洗車、室内の消毒などの徹底をお願いしております。
 なお、収集作業時に必要なマスクについて、先月、入手しづらい時期がございましたので、その際は市に寄贈されたマスクのうち、約2万6,000枚を収集業者の皆様に配付するなどの支援を行ったところでございます。
 次に、市民への注意喚起として、収集時の感染リスクを軽減するためのごみの出し方について、市のホームページやごみ出し日通知サービスを活用して、使用済みのマスクなどを捨てる際はビニール袋に入れて密封して出すことや、ごみ袋の破裂を防止するため袋は余裕を持った状態で空気を抜いて結んで出すことなどを周知しております。
 今後とも、ごみ収集業者の感染を予防し、安定的な事業継続が実施できる体制づくりを支援するなど、しっかり取り組んでまいります。

福岡市がごみ収集業者の皆さんへ感染防止の御支援をされてきたことがよく分かりました。小泉環境大臣も廃棄物処理について、ごみ収集作業員の皆さんが私たちの生活を守るため、新型コロナ感染リスクと闘いながら日々ごみを収集されていることに対する感謝の意と、ごみ袋に感謝や激励の言葉を書くなどして、必要不可欠な社会インフラを支える方々を少しでも応援する取組の広がりを期待し、後押しをしていきたいと述べられております。実際に市民の皆さんにも応援する取組が広がっているようで、ごみ収集作業員の方々からも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、ごみ袋に感謝の手紙や応援の手紙が貼ってあることが多いと聞いております。実際にごみ袋に貼ってあった手紙の内容の一部を読ませていただきます。「コロナで大変なときにありがとうございます。皆様お体お大事になさってください」、「私たちのために働いてくださり、ありがとうございます。頑張ってください」、ほかにも子どもさんからのイラストつきで一生懸命気持ちを伝えようとするような心温まる手紙が貼ってあることがあったと聞いております。また、西日本新聞では、新聞の紙面1面全体を利用して、ごみ収集作業に従事している皆さんに感謝の気持ちを伝えようと呼びかける活動も行われており、ごみ収集作業員の皆さんにとって、とても励みになっているようであります。ただ一方で、ごみ収集時に使用済みのマスクやティッシュ等に直接触れることや、ごみ収集車両へ積み込む際にごみ袋が破裂し飛散することがあるなど、新型コロナウイルス感染症への感染の不安を日々感じながら作業に従事されているということも聞いております。
 緊急事態宣言は一旦解除されましたが、第2波、第3波への警戒も想定される中、ごみ収集作業に従事する方をはじめ、清掃作業など感染リスクがある中、日々業務に従事される方々もおられます。今後とも、ごみ収集業者のみならず、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる皆さんが感染リスクを軽減しながら安定的に事業を継続していくことは大変重要であると考えます。
 以上、これまで新型コロナウイルス感染症拡大下でのごみ処理という市民の生活に極めて身近な環境問題についてるる質問をしてまいりました。このような緊急事態の状況下であっても、今後とも、基本構想に掲げる、住みたい、行きたい、働きたいまち福岡を目指し、快適で良好な生活を着実に実現することが必要だと考えますが、最後に市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

市長

福岡市は豊かな自然、そしてまた、コンパクトに集約された都市機能が共存する魅力的で住みよい美しいまちとして内外から高い評価を頂いています。特に全国でも類いまれなごみの夜間収集は、都市の良好な景観形成、また、市民の安全で快適な生活に大いに貢献しています。津田議員御指摘のとおり、ごみ収集は市民生活を維持するため必要不可欠であり、安定的に業務を継続していくことは大変重要でございます。新型コロナウイルス感染症流行下においても、ごみ収集に携わる皆さんが家庭や事業所から出たごみを日々確実に収集していただいていることに対し、改めて深く感謝申し上げます。
 今回のような緊急事態下においても、市民生活に欠かせない業務を着実に実施できるよう、今後とも安全、安心で美しく、また、生活の質の高いまちづくりを進めてまいります。

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津田信太郎 市政相談所

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