議会質問

漁業法の改正と今後の沿岸漁業の振興についての質問

2020年12月15日

福岡市の魅力は都市と自然の調和であり、その魅力を支えているのが第1次産業であります農林水産業でございます。中でも博多湾は福岡市民にとって身近な自然であり、豊富な魚介類の宝庫であるとともに、たくさんの生き物が生まれ育つ場であり、海の揺り籠と呼ばれています。
 福岡市は魚がおいしいまちとして知られていますが、これは豊かな博多湾のおかげであります。そして、おいしい魚介類を私たち市民に届けていただいているのが福岡市漁業協同組合所属の漁業者であります。漁業者は小型底引き網や刺し網など様々な漁法で漁をされるほか、ノリ、ワカメ、カキなどの養殖も行っています。また、博多湾の海底に沈んだごみの回収など、漁場環境の保全活動も積極的にされています。
 このように福岡市の魅力の一役を担っていただいている漁業者でありますが、近年は後継者不足により漁業者が減少するとともに、高齢化が進むなど、大変厳しい状況にあります。それに追い打ちをかけるように、今般のコロナ禍で魚価安になるなど、大変厳しい状況にあります。
 そのような中、70年ぶりに漁業法が改正され、今月1日から施行をされています。改正漁業法では、漁業が国民に対して水産物を供給する使命を有し、かつ、漁業者の秩序ある生産活動がその使命の実現に不可欠であることに鑑み、水産資源の持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、もって漁業生産力を発展させることを目的とする、そういうふうに明記をされています。
 そこでまず初めに、今回の漁業法の改正の趣旨についてお尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

漁業法の改正の趣旨につきましては、適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるため、資源管理措置並びに漁業許可及び免許制度等の漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直すこととされております。

次に、漁業法の改正ポイントについてお尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

漁業法の改正のポイントにつきましては、3点ございます。まず1点目は、資源管理対象魚種の拡大や漁船ごとに漁獲枠を定める個別漁獲枠方式の導入、2点目は、適切かつ有効に活用されなくなった漁場に地域内外からの企業の新規参入を認めるなどの漁業権制度の見直し、3点目は、アワビ、ナマコなどの特定水産動植物の密漁に係る罰則の新設や漁業権侵害に対する罰金の上限引上げなどの密漁に係る罰則の強化となっております。
 なお、漁業法第6条では、国及び都道府県は、漁業生産力を発展させるため、水産資源の保存及び管理を適切に行うとともに、漁場の使用に関する紛争の防止及び解決を図るために必要な措置を講ずる責務を有することとされております。

企業などが参入できるということでありますが、漁業者が困ることはないのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

企業などの参入につきましては、まず、地元の漁業者が地先の水面を共同で利用する共同漁業権は、これまでと同様に福岡県から福岡市漁業協同組合にのみ免許が与えられることとなっております。また、養殖に係る区画漁業権は、水域を適切かつ有効に活用している場合、福岡県から優先して福岡市漁業協同組合に免許が与えられることとなっております。なお、企業などの新規参入を認める場合は、地元の漁業者から意見を聴くよう義務づけられております。

改正漁業法では、水産資源の保存及び管理を適正に行うことは国及び都道府県の責務ということでありますが、本市ではこれまでどのような水産資源管理の取組を行ってきたのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

これまでの福岡市の水産資源管理の取組につきましては、福岡市では漁業者と連携して、主に漁場環境の改善とつくり育てる漁業を推進しております。これらの具体的な取組といたしまして、まず、漁場環境の改善に関しましては、微生物製剤を利用した博多湾アサリ漁場などの底質改善、海底ごみ回収などを行っております。また、つくり育てる漁業に関しましては、水産資源の維持増大を図ることを目的に、クルマエビやアワビなどの種苗放流を行っております。このほか、漁業の生産活動や水産資源に深刻な影響を与える密漁への対策といたしまして、福岡市漁業協同組合などと連携し、啓発看板を設置しております。

漁場環境の改善が図られ、放流種苗が育つなど、水産資源管理の実施をすることは継続的な漁業を行う上でとても重要なことでありますので、しっかりとサポートを行っていただきたいというふうに思います。
 次に、先ほど冒頭でも申し上げましたが、今般のコロナ禍で魚価安が続いており、飲食店など、いまだ厳しい状況が続き、全体的に落ち込んでいるところでありますので、早く収束することを願うところであります。
 そんな中、農林水産局では、福岡市漁業協同組合と連携をして、カキ、ワカメ、干物などの特産品を定期的に販売されるなどPRをされており、魚価安の影響を受けている漁業者にダイレクトな支援を行っていく必要がある中で、とてもよい取組をされていると感じております。
 また、10月に福岡市漁業協同組合が独自にプレミアム商品券の販売を始めたことを聞いております。プレミアム商品券といえば、通常は商店街が中心と思っておりましたが、漁業協同組合が商品券を販売するということは聞いたことがなかったので、正直驚かされました。商品券を買った人はどこで何が買えるか調べますし、福岡市の漁業者の取組を知る上で、よいきっかけになると思います。私も早速買って使っておりますが、福岡市漁業協同組合の商品券の販売は非常によい取組だと感じております。福岡市漁業協同組合によるこのような取組は日本初ということであり、果敢にチャレンジされている関係者の皆様に敬意を表したいと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、商品券販売の経緯について教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

商品券販売の経緯につきましては、コロナ禍により福岡市漁業協同組合が取り組んでいる朝市、夕市などへの来客数が激減していることから、多くの方々に漁港へ足を運んでもらい、水産物の売上げ向上や地元の新鮮な魚などの食材のよさを知ってもらうこと、漁業者と触れ合う機会を増やすことなどを目的として、令和2年6月より農林水産局と福岡市漁業協同組合とで検討を開始し、福岡市の補助事業を活用したプレミアム付商品券を10月より販売することとなったものでございます。

本事業の詳細と今後の展開についてお聞きします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

商品券の詳細と今後の展開につきましては、今回の商品券販売はコロナ禍による魚食や売上げの低迷を受け、農林水産局と福岡市漁業協同組合とで実施可能時期などの条件を協議し、試験的に志賀島支所、弘支所、唐泊支所の3支所で実施することになったものでございます。商品券は1冊当たり1万円で購入し、1万2,000円分利用できるもので、発行冊数は300冊、利用期間は令和2年10月15日から令和3年2月28日までとなっており、12月1日現在で約8割の販売実績となっております。また、今後の展開につきましては、今回の取組を踏まえ、さらに使いやすいものとなるよう利用期間や利用場所などについて福岡市漁業協同組合と協議を進めてまいります。

ぜひ皆さんも使っていただけたらと思います。今回は試験的な導入ということですが、次回はほかの支所も参加され、それが広がっていくことを期待しております。
 商品券の取組は、今回のコロナ禍における魚価安においても、ポストコロナにおける漁業経営においても、漁業経営を守るための重要な手段になり得ると考えます。最近ではECサイトと言われるインターネットを活用した水産物の販売も増えてきており、商品券の活用も併せて福岡市漁業協同組合のホームページで販売をされるなど、さらに魅力あるものになるように期待しております。本市においても、ぜひサポートを行っていただきたいと思います。
 次は、これからの漁業の大きな問題である後継者不足と漁業者の高齢化についてであります。
 このまま漁業者の減少が続くと、福岡市の魅力の一つがなくなってしまうのではないかと危惧をしており、しっかりと就業者の確保に取り組んでいただくことが必要ではないかと考えております。漁業は経験と勘を養うのに数年見習い期間があると言われておりますが、途中で挫折する方も多いようで、就業者の確保に向けたサポートは大変重要であると考えます。新規就業者が働きやすい環境にするために、経験と勘に頼るだけではなく、新たな技術を活用したスマート漁業などの推進も欠かせないと考えます。また、漁業を行う上では住む場所の確保も重要であるなど、多くの課題があると思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、新規就業者確保のために今行っている支援策を教えてください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

新規就業者確保のための支援策につきましては、就業開始から5年間で30万円を限度として、船舶免許や漁具などの漁業活動に必要な費用の2分の1を助成いたしております。

就業者の確保など課題が多い中、市として今後どのように考えているのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

福岡市における今後の取組についてでございますが、福岡市の魅力の一つである新鮮で種類豊富な水産物が安定的に供給されるためには、漁業者の担い手不足や高齢化などの課題解決に向けた取組が重要であると考えております。そのためには、福岡市漁業協同組合をはじめ、市場関係者、関係機関などの幅広い方々との連携が不可欠であり、令和3年度に予定しております次期福岡市水産業総合計画を策定する中におきまして、各分野の専門家の御意見などもいただきながら可能な支援策を検討してまいります。

よろしくお願いします。
 水産業は水産物を取るところから消費するところまでを総称したものであり、市民への新鮮な水産物の安定供給を目指す必要があります。そのためには、まず、漁業者である福岡市漁業協同組合と連携をし、漁業者の所得向上や雇用の創出を図ることが必要だと考えます。また、水産物が市場を経由し、消費者に行き渡るまでの流通の確保や、それを食べる消費者への魚食普及などを総合的に取り組んでいく必要があると思います。
 福岡市においては、水産業振興に関する福岡市水産業総合計画を策定されておりますが、総合計画の見直しに当たっては、これらのことを踏まえ、福岡市の水産業が今後発展できるよう、ぜひ攻めた計画としていただくように要望いたしまして、この質問を終わります。

議会質問

津田
信太郎

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津田信太郎 市政相談所

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