2016年03月23日
津田
信太郎
経済観光文化局長
本市における外国人入国者数については、法務省出入国管理統計によると、福岡空港及び博多港から入国した外国人の平成27年における上位5位までの国、地域ごとの人数と前年比は、1位が韓国で前年比55%増の約87万7,000人、2位が台湾で前年比36%増の約22万9,000人、3位が中国で前年比34%増の約15万6,000人、4位が香港で前年比62%増の約11万7,000人、5位がタイで前年比43%増の約6万人となっている。なお、クルーズ船の船舶観光上陸許可による入国者数については国籍が公表されていないが、約50万2,000人で前年の約4倍となっている。
福岡空港と博多港に入国した外国人の数は、平成25年から平成27年の2年間で約2.3倍も増加しており、本市を訪れる外国人観光客はクルーズ船の団体客というイメージが強いようだが、実際には208万人のうち約75%の157万人が飛行機や定期船を利用して多くの国、地域から訪れているようである。そこで、28年度における観光客誘致、受け入れ環境整備の予算額及び主な取り組みについて尋ねる。
津田
信太郎
経済観光文化局長
28年度の観光客誘致及び受け入れ環境整備の予算額は3億9,732万円余となっており、主な取り組みとしては、国内外の有望市場に対して効果的な観光プロモーションやクルーズ誘致に取り組む誘客関連事業、魅力づくりやおもてなし力向上、回遊性強化、観光バス受け入れ環境の改善など観光消費の拡大や受け入れ環境の整備関連事業などとなっている。
28年度も受け入れ環境の整備を初め観光の振興に継続的に取り組むようだが、安定的に外国人の観光客を誘致するためには、積極的なプロモーションに加え、今後は受け入れ環境の整備が重要になってくる。これまでの外国人観光客の受け入れ環境の整備に向けた取り組みについて尋ねる。
津田
信太郎
経済観光文化局長
これまでの外国人観光客の受け入れ環境の整備については、まず、外国人観光客に対する情報提供機能の強化を図るため、天神と博多駅の観光案内所における多言語対応や観光施設、観光案内板、観光パンフレットなどの多言語化、また、利便性向上のため、Fukuoka City Wi-Fiによる公衆無線LANサービスの提供、効率的に市内を周遊できる公共交通1日フリー乗車券「福岡ツーリストシティパス」の販売、民間金融機関による外貨両替所の観光案内所併設のほか、飲食店や宿泊施設などにおける受け入れ環境の向上を促進するためのセミナーの開催などに取り組んできた。
これだけ外国人観光客がふえているため、今後もぜひ受け入れ環境の整備に力を入れて取り組まれたい。また、リピーターをふやすためには本市にまた来たいと思ってもらうことが必要であるが、そもそも、外国人観光客が福岡で観光に最も期待しているものは何か。
津田
信太郎
経済観光文化局長
外国人観光客が本市の観光において最も期待しているものについては、24年度に本市が行った福岡観光魅力アップ調査によると、第1位が食べ物、飲食店で35.1%、第2位が買い物、商業施設で27.0%、第3位が宿泊施設、温泉で16.2%となっている。また、観光庁による平成26年の訪日外国人消費動向調査においても、訪日外国人旅行者が訪日旅行前に最も期待していたこととして、この調査では複数回答が認められているが、第1位が日本食を食べることで76.2%、第2位がショッピングで56.6%、第3位が自然、景勝地観光で46.8%となっており、外国人観光客は食に最も期待している結果となっている。
先ほどの調査結果から見ても、福岡の食は外国人観光客の消費を取り込んでいくためには重要なコンテンツだと思うが、福岡の食の魅力発信に関する考えと取り組みについて尋ねる。
津田
信太郎
経済観光文化局長
本市は、博多ラーメンやモツ鍋、水炊きなどの本場であるとともに、新鮮な海産物を初めとする質の高い食文化を有しており、その魅力を発信することは観光客誘致を進める上で非常に重要であると認識している。このため、海外への観光プロモーションや国際観光展において映像やポスター、ガイドブックなどのプロモーションツールを活用した食の魅力のPRに努めるほか、福岡市観光情報サイト「よかなび」でのグルメ情報の発信、旅行会社と地元飲食店事業者をマッチングするクルーズツアー商談会の開催など、これまでもさまざまな手法で食の情報発信に取り組んできた。今後とも時代に合った手法を効果的に活用しながら、本市ならではの食の魅力の情報発信に取り組んでいく。
食の魅力発信については、今後とも積極的に行われたい。26年度決算特別委員会の総会質疑でも質問したように、本市にも東京の築地の鮮魚市場の周辺にあるような場外観光市場が設置されれば、福岡を訪れた外国人観光客のみならず市民も地元のおいしい食を楽しむことができ、満足度の向上とリピーターの獲得にもつながり、さらには市場の活性化や取扱量の増加も期待できる。市場関係者が水産業復活のためにしっかり取り組もうとしている今だからこそ、本市が協力できることを含め、今後とも市場関係者と協議を重ねていくことを再度、強く要望しておく。ビザの緩和や経済発展などを背景に、今後はさらに東南アジアからの入国者の増加が考えられ、他都市に先駆け、ASEAN人口6億人のうち約4割を占めると言われるムスリム観光客への対応が必要だと思うが、取り組み内容を尋ねる。
津田
信太郎
経済観光文化局長
ムスリム観光客への取り組みについては、ムスリム観光客が市内で気軽に安心して食事を楽しめるようムスリムフレンドリーレストランガイドを作成し、食に関する情報を提供するほか、宿泊や交通などに関するムスリム観光客のマーケティング調査を実施し、セミナーの開催などにより調査結果を地元事業者に広く周知するなどの取り組みを行っており、今後ともムスリム観光客に対する受け入れ環境の向上に取り組んでいきたい。
外国人観光客に本市の魅力をじっくり味わってもらうための仕組みづくりについて尋ねる。そのための舞台として、商店街はとても魅力的ではないかと思うが、例えば、川端商店街はすぐ近くに博多の歴史を感じることができる櫛田神社や博多町家ふるさと館があり、博多座やアジア美術館などの新しい文化施設も隣接しており、エリアを周遊することで博多の歴史、文化、伝統を味わうことができる。地域の観光資源を体験できる仕組みを商品化できれば、観光客の満足度の向上と消費の拡大が期待できると考えるが、所見を尋ねる。
津田
信太郎
経済観光文化局長
地域の観光資源を生かした体験型旅行商品については、本市ではこれまで民間事業者等が実施しているまち歩きなどの体験型旅行商品を公募し、パンフレットやホームページによる情報発信などを行ってきた。また、27年度においては、これまでの取り組みに加え、観光客のニーズにより合致した商品を充実させるため、観光客の体験型旅行商品についての認知度や興味などを調査した上で、より観光客に魅力的な体験型商品を新規に造成し、ウエブページにおいてPRする取り組みを進めている。今後とも観光客の満足度を向上し、より多くの観光客に福岡を再訪してもらうとともに、観光消費の拡大を図っていけるよう、地域の観光資源を生かした魅力的な体験型旅行商品の充実に努めていく。
商業都市である本市にとって、観光振興による交流人口の増加は都市の成長に欠かせないものであり、積極的なプロモーションも重要であるが、リピーターにつながるおもてなし力の向上を図っていくことが非常に重要である。この質問の最後に、28年度に向けた市長の意気込みを伺う。
津田
信太郎
市長
本市は第3次産業が9割という産業構造であるため、交流人口をふやし、消費を拡大することが地域経済の活性化につながって都市全体に活力をもたらすことから、観光集客の振興に積極的に取り組んできた。その結果、福岡空港と博多港からの外国人入国者数は去年初めて200万人を突破し、およそ208万人へと急増しており、さらに、平成28年6月にはライオンズクラブ国際大会、平成31年にはラグビーワールドカップ、平成32年の東京オリンピック・パラリンピック直後の平成33年には世界水泳選手権が、それぞれ本市で開催されることになる。こうした状況の中、本市のインバウンド施策を進めるに当たっては、外国人観光客の満足度を高めてリピーターの増加につなげていくおもてなし力の向上が重要であると考えている。おもてなしの心にあふれた観光都市福岡の実現に向けて、時代に合った手法を効果的に活用しながら、本市の魅力である食の情報発信など観光プロモーションに積極的に取り組むとともに、地域の観光資源を生かした魅力的な体験型プログラムの充実など、おもてなし力の向上につながる観光客の受け入れ環境の整備を進めていきたい。
我が国を訪れる外国人観光客は近年大きく増加し、平成27年には過去最高の1,973万人に達し、今後も2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け日本を訪れる外国人観光客はさらに増加すると見込まれており、本市が今後とも持続的、安定的な受け入れを行うためには、積極的なプロモーションはもちろんであるが、福岡を訪れた観光客の満足度を向上させ、リピーターにつなげていくことがより重要である。まず、本市への外国人入国者数について、平成27年における上位5位までの国、地域ごとの人数と前年比を尋ねる。