2017年03月09日
津田
信太郎
経済観光文化局長
まず、福岡市博物館、福岡市美術館、福岡アジア美術館における外国人観光客の現状、傾向でございますが、平成28年度の常設展観覧者に占める外国人観覧者の割合は、1月末現在で博物館が4.2%、アジア美術館が7.7%、リニューアルのため休館している美術館につきましては8月末までで17.2%となっており、各館とも近年、増加傾向にございます。また、アジア美術館では外国人観覧者の半数近くが欧米人であることが特徴となっております。
次に、外国人観光客にアピールできる各館の特色でございますが、まず、博物館につきましては、福岡の古代から現代までの歴史をたどることができる施設であり、日本文化の一面を象徴いたします刀剣やよろいかぶと、着物やびょうぶなどを数多く所蔵し、随時展示に供しております。また、美術館につきましては、日本の伝統美術から世界の現代美術までを所蔵、展示しておりますが、特に仏像、陶磁器、茶道具などの古美術の名品やミロ、ダリ、ウォーホルなど世界的に著名な現代アーティストの作品は外国人にも強くアピールするコンテンツであると考えております。さらに、アジア美術館はパキスタン以東の広範な地域をカバーする世界で唯一のアジア近現代美術の専門館として海外でも評価が高く、アジア各国を代表する作家の作品を多数収蔵、展示しており、特にアジアの文化や芸術に関心を持つ欧米人にアピールするコンテンツとなっているものと考えております。以上でございます。
私たち福岡市民や福岡都市圏にお住まいの方々は、福岡市博物館、福岡市美術館、福岡アジア美術館にどのようなときに足を運ぶのでしょうか。恐らくいつでも見ることができる所蔵品の常設展示ではなく、テレビや新聞で頻繁に広告が出され、期間限定で他の美術館などの作品が特別に展示される特別企画展を見に行くという方が大半ではないでしょうか。一方、海外からの観光客にとってはいかがでしょうか。そのような特別な企画だけではなく、もっと別の視点が必要なのではないでしょうか。最初に申し上げましたが、私たちが海外旅行に行って何を見に行くかといったときに、その地域の美術館や博物館、動植物園などは当たり前のように観光コースに入っています。もしくはそこにしか展示していないものを見る目的で、その国を訪れることもあると思います。例えば、台湾に行ったら、なぜ故宮博物院に行くかというと、同館を代表する名品の翠玉白菜や肉形石を見たいと思うからではないでしょうか。
先ほどの答弁にもありましたように、福岡市博物館には日本独自の文化の象徴とも言える刀剣や着物などが多数あります。また、福岡市美術館には仏像や茶道具などの日本の伝統美術だけではなく、ミロ、ダリなど誰でも名前を知っているような世界的に有名な芸術家の作品もあります。福岡アジア美術館にはアジア各国を代表する作家や国際的に活躍する作家の貴重な作品などがあります。このように、福岡市にも故宮博物院の翠玉白菜のような各館の目玉作品や価値あるコンテンツがたくさんあるのではないでしょうか。
福岡市が所蔵しているサルバドール・ダリの作品「ポルト・リガトの聖母」を御存じでしょうか。この作品はダリの代表的な作品として、昨年、東京で開催されたダリ展でも出展され、その迫力と美しさで一番の人気作品だったとお聞きしております。また、ジョアン・ミロの作品「ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子」、これは地下鉄の大濠公園駅にも画像が飾られていますので、御存じの方も多いかと思いますが、国内にあるミロの作品の中で最も有名なものとお聞きしております。しかし、これらの価値あるコンテンツが果たしてどれだけの人に知られているでしょうか。これらの魅力を外国人を初め、多くの方々にもっとPRすべきではないでしょうか。
昨日の橋田議員が質問された動植物園も同様に、何度も行きたくなる施設整備や仕掛けづくりは大変重要だと思います。例えば、シンガポールの動物園ではオランウータンの世界最大の群れや動物との間の壁を隠す開かれた展示などにより、動物園が観光名所の一つとなっていますが、福岡市動植物園もアジア熱帯の渓谷エリアなど動物を体験できる新たな展示方法が取り入れられ、人気が高まっているところであります。
そこで、外国人観光客に対し、これまで各施設の魅力をどのように情報発信し、外国人観光客の受け入れ環境を整備してきたのか、動植物園も含めてお尋ねをいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
外国人観光客に対する博物館、美術館、アジア美術館における情報発信につきましては、来館者の多い英語圏の国や中国、韓国の方々向けに、ホームページにて、日、英、中、韓の4カ国語で各施設の基本的な情報を発信するほか、SNSやブログを活用し、動画も含め、展示情報やイベント情報を発信いたしております。また、福岡市の観光サイト「よかなび」では、平成28年10月からミュージアム特集を4カ国語で発信いたしております。
なお、アジア美術館ではアジアの人的ネットワークなども活用した情報発信に取り組んでいるところでございます。
次に、外国人観光客の受け入れ環境の整備についてでございますが、各施設では順次、館内サインや作品解説の多言語化に取り組んできており、博物館では平成19年度に常設展における4カ国語の多言語音声ガイドの導入を行うことといたしております。また、美術館では平成31年3月のリニューアル開館に向けまして、館内サインと作品解説の多言語化を行うとともに、開館後は英語に対応できる案内スタッフの配置なども行う予定といたしております。以上でございます。
住宅都市局長
動植物園におきましては、外国語版の案内マップを作成するとともに、ホームページの英語、韓国語、中国語による情報発信に取り組むとともに、園内サインの多言語化など、受け入れ環境の整備を進めているところでございます。今後とも、外国人観光客に楽しんでいただける魅力的な展示施設の整備を行うとともに、観光関係者などとも連携を図り、より積極的な情報発信や受け入れ環境の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
それぞれの施設ごとにさまざまな工夫をしていることは理解できましたが、まだまだ不十分であり、非常にもったいないなと思います。福岡市が持っている各施設のコンテンツの魅力が海外からの観光客に届いていないのではないかと思っております。各施設が現在行っているインバウンドへの取り組みは、いまだに案内サインなどの多言語化という環境整備が中心であります。もちろん受け入れ環境を整えることは必要でありますが、それらはあくまで受け身の対応だと思います。これからは攻めの姿勢を持ち、いかにインバウンド観光客を呼び込むか、そういった視点が必要だと考えます。そのためには、特別なイベントだけではなく、各施設の特色を生かし、海外からの旅行客が興味を持つような目玉作品などのコンテンツをさらに充実させ、海外から来る旅行者の視点でこれまで以上にしっかりと広報し、展示する必要があるのではないでしょうか。例えば、最初に福岡を訪れた際には、都心部に近いアジア美術館にまず足を運んでもらい、そこでユニークな日本で唯一のアジア美術を見てもらい、そして次に、オンリーワンの魅力のあるコンテンツでさらに福岡市美術館や福岡市博物館へと誘客をしていく、こういったことが必要だと思います。各施設が持っているコンテンツの魅力を高める取り組みを行うとともに、福岡にはたくさんの魅力的なコンテンツがあるということが外国人観光客にきちんと伝えることができれば、今回は福岡アジア美術館を回ったので、次に来るときは福岡市美術館や福岡市博物館を回りたいというぐあいに、外国人観光客が何度も福岡市を訪れたいと思うようになるのではないでしょうか。
最後に、博物館や美術館などのコンテンツの充実や各施設の魅力の磨き上げを行い、それらをしっかりと展示、情報発信することにより集客力を高め、海外からの観光客にとって再び福岡市に訪れたくなる都市になるよう、文化資源のさらなる魅力向上を図るべきだと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
津田
信太郎
経済観光文化局長
まず、先ほどの私の答弁の中で、博物館への多言語音声ガイドの導入年度につきまして、平成29年度と答弁いたしますところを平成19年度というふうにお答えしておりました。29年度が正しいものでございます。おわび申し上げますとともに、訂正をさせていただきます。申しわけございませんでした。
それでは続きまして、インバウンド対策に関する御質問に引き続きお答えをいたします。
海外からの観光客の集客力向上に向けて文化資源のさらなる魅力向上を図るべきとのおただしでございますが、博物館、美術館、アジア美術館では、外国人観光客の視点に立ち、特色あるコンテンツを生かして、展示内容や方法のさらなる充実、改善を図るとともに、新たに構築するイベント情報の多言語サイトを活用し、積極的に展示情報の発信に取り組んでまいります。また、韓国を初めとした東アジアからのブロガーの招聘やヨーロッパ地域からの旅行会社招聘などの場を活用し、積極的にPRするなど情報発信を強化し、集客力の向上を図ってまいります。
また、外国人観光客を受け入れるに当たっては、施設単体だけではなく、エリア全体として受け入れる観点が重要であると考えております。このため、平成29年度はアジア美術館を博多部における回遊拠点の一つとして位置づけ、5万冊を超える蔵書を活用しまして、アートと本に囲まれるブックカフェを整備し、その魅力の向上を図るとともに、博多部におけるまち歩きの発着点としての機能を整備することといたしております。また、あわせてイベントスペースを整備することとしており、体験型観光の場として利用するほか、ユニークベニューとしての国際会議のレセプションやアフターコンベンションとしての活用も図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
福岡市の平成28年のインバウンドの観光客は初めて250万人を突破し、前年比49万人増の257万人と5年連続で過去最高を記録いたしております。平成28年のクルーズ船の寄港回数も前年比69回増の314回で、3年連続日本一と増大をいたしております。また、2年後にはラグビーワールドカップ2019日本大会が、そして、その翌年は東京オリンピック・パラリンピック、さらに、その翌年には世界水泳2021福岡大会と、国際スポーツ大会の開催も続き、これまで以上にさまざまな国や地域からの観光客の増加が見込まれておるところであります。一方で、買い物を中心とする、いわゆる爆買いツアーにつきましては、円高などの影響もあり、その勢いに陰りが見えるという報道もございますが、これは外国からの観光客の消費行動が変わってきているとの見方もあります。
そのような外国からの観光客がそのまちに何を求めているのか、それは自分が海外旅行に行くことを考えれば容易に想像できるかと思います。その国や地域を代表するような自然や建築物、文化などはもちろんですが、そこに行かないと見ることができない、味わえない、体験できないといったオンリーワンのものではないでしょうか。福岡市が外国の旅行者にとってさらに魅力的で選ばれるまちになっていくためには、そのようなオンリーワンのコンテンツをいかに提示できるかにかかっていると考えます。福岡市にはさまざまなコンテンツがありますが、インバウンドに対し、そのポテンシャルを十分に生かし切れていないのではないかと思います。また、既存のコンテンツの魅力を高めることで、新たなまちの魅力づくりができるのではないのか、そのような観点で質問を行いたいと思います。
イギリスに行くと、皆さん、どこに観光に行かれるでしょうか。バッキンガム宮殿や国会議事堂の時計塔ビッグ・ベンと並んで、必ずと言っても過言ではない大英博物館があると思います。1日では回り切れないほどの広さに数多くの美術品、そして、工芸品が展示されているため、何度も訪れたくなります。また、フランスではいかがでしょうか。こちらもベルサイユ宮殿やエッフェル塔に並んで、ルーブル美術館は外せません。こちらも1日では回り切れないほどの作品が展示されております。私はアメリカに滞在していたときに、ワシントンDCにあるスミソニアン博物館を何度も訪れました。スミソニアン博物館はアメリカを代表する博物館であり、科学、産業、技術、芸術、自然史など、さまざまな分野の博物館で構成をされており、まさに何度も訪れたくなるような博物館であります。
そこで、初めに、福岡市の集客施設である福岡市博物館、福岡市美術館、福岡アジア美術館における外国人観光客の現状や傾向、外国人観光客にアピールできるコンテンツなどの各施設の特色についてお尋ねをいたしたいと思います。