議会質問

福岡市水産業の振興についての質問

2021年09月08日

本市は都市機能が集約され、利便性が高く、人口も162万人を数え、アジアに開かれた交流拠点都市としてさらに成長をしています。その一方、資源豊かな博多湾、脊振山脈を背に田園地帯が広がり、豊かな自然が市民の憩いの場となっております。コロナ禍以前は、年間観光客は2,200万人を数え、食の都として有名な福岡のまちは、地元の新鮮な食材を生かした多彩な料理が国内外からの多くの観光客を魅了してきたと思います。特に魚がおいしいまちというイメージは、本市の魅力を支える大きな要因でもあります。
 博多湾では多種多様な魚介類が生産され、沿岸部や離島では漁業者が伝統的な漁法や技術を引き継ぎながら水産業に携わっており、都心部には全国有数の取扱金額を誇る博多漁港と、その中心部に水産物流拠点としての鮮魚市場を有しています。このような生産基地と大消費地が共存する政令指定都市は全国的にも珍しく、福岡市の水産業の大きな特徴でもあります。しかしながら、福岡市の沿岸漁業者は高齢化や新たな担い手不足などによって減少傾向にあり、さらには近年の魚離れやコロナ禍による魚価の低迷などもあって、本市の水産業は大変厳しい状況にあります。また、近年、我が国の水産業を取り巻く状況も、福岡市と同様に水産資源の減少、漁業就業者の減少、高齢化、消費者の魚離れなど様々な問題が解決されないまま深刻化しており、資源管理や水産業の成長産業化を目的に70年ぶりに漁業法が改正をされました。また、卸売市場法や水産業協同組合法なども同じく改正をされています。さらに、水産業においても、地球環境問題への対応として持続可能な開発目標、SDGsやCO2ゼロエミッション化に取り組むこととされております。
 このような中、福岡市の水産業の指針となる福岡市水産業総合計画は、現計画が平成29年に策定をされており、豊かな海の再生と持続可能な水産業の創生を目標として、令和3年度までの5年間を計画期間として様々な水産業振興施策が推進をされています。また、現在、次期総合計画の策定が進められているところであります。
 そこでまず、水産業を取り巻く状況についてお尋ねをしてまいります。
 沿岸漁業就業者数の過去3年間の推移及び年齢構成をお示しください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

沿岸漁業就業者の過去3年間の状況でございますが、まず、就業者数につきましては、平成30年は517人、令和元年は499人、令和2年は492人でございます。次に、年齢構成につきましては、平成30年は30歳未満が4.4%、30から64歳が49.3%、65歳以上が46.2%、令和元年は30歳未満が4.6%、30から64歳が47.7%、65歳以上が47.7%、令和2年は30歳未満が3.9%、30から64歳が46.1%、65歳以上が50%でございます。

沿岸漁業生産量及び生産額について、過去3年間の推移をお示しください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

過去3年間の沿岸漁業の生産量及び生産額につきましては、まず、平成30年は約4,181トン、22億9,000万円、令和元年は約3,767トン、21億5,300万円、令和2年は約3,643トン、19億900万円でございます。

では次に、昨年、令和2年における沿岸漁業者の漁労収入と漁労所得をお示しください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

令和2年の沿岸漁業者の漁労収入及び漁労所得につきましては、令和2年度に実施した沿岸漁業者を対象とする漁家意識調査によりますと、平均漁労収入は447万8,000円、平均漁労所得は222万9,000円でございます。

続いて、沿岸漁業における魚の平均単価について、過去3年間の推移をお示しください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

沿岸漁業における過去3年間の魚の平均単価につきましては、平成30年は1キロ当たり547.8円、令和元年は571.4円、令和2年は524.1円となっております。

答弁いただいたように、近年、沿岸漁業の漁獲量が減少してきております。その要因の一つとして、魚介類の生息の場として博多湾の環境の悪化があると思いますが、その対策として市はどのような事業に取り組まれているのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

博多湾の漁場環境悪化への市の取組につきましては、まず、漁業者が漁業活動中に回収した海底ごみの処分及び海底耕うんなどによる底質改善を行った上で、アサリ、クルマエビ、メバルなどの種苗放流を実施しております。また、稚魚の生育場所となる魚礁や築磯などの漁場造成を実施し、水産資源の維持、増大を図っております。さらに、水域全体としての環境保全を図るため、漁業者、林業関係者、市民ボランティア団体などと共働して植林などの活動を行っております。

近年、世界中で問題視をされておりますプラスチックをはじめとする海洋ごみ問題については、以前、議会質問でも述べましたが、市民に対する啓発の徹底、意識の醸成を行い、ごみの発出自体を減らしていくことと同時に、河川から流入するごみの減少のため、河川清掃を強化するとともに、漁業者がボランティアで長年実施をしております海底ごみの回収や海底耕うんなどにも引き続き力を入れてもらいたいと思います。
 漁業者は、海の環境保全だけではなく、長年にわたって山での植林活動も継続をされています。私もその活動には参加をさせていただいておりますが、なぜ漁業者が山に登り、木を植えるのか、10年前、初めて参加したときには大変疑問に思いました。山に降った雨は、様々な植物や腐葉土などに浸透しながら、ミネラル豊富な地下水となり、川に流れ出します。その水は河川域の田畑を潤し、多様性豊かな水生生物や植物などを育みながら海に流れていきます。本市には室見川をはじめ、多くの河川があり、そこから流れ出すミネラル豊富な水が博多湾を豊かな海にしています。海も山の恩恵を受けている、だから漁業者は山に登り、植林をされているわけであります。
 そこで、これらの活動の状況についてお尋ねをいたします。
 漁業者による海底ごみの回収及び海底耕うん、また、植林活動といった保全活動について、過去3年間の実績をお示しください。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局

過去3年間の海底ごみの回収量につきましては、平成30年度は324立方メートル、令和元年度は294立方メートル、令和2年度は282立方メートルでございます。次に、海底耕うんの回数につきましては、平成30年度は46回、令和元年度は45回、令和2年度は25回でございます。
 また、植林活動につきましては、博多湾の豊かな漁場を育むために重要な事業であり、平成30年度は早良区の山林において植林を予定しておりましたが、西日本豪雨による土砂崩れの発生に伴い事業を中止しております。令和元年度は早良区西において、0.2ヘクタールで800本の植林を実施しております。また、令和2年度は海岸での清掃及び松林での松葉かきを予定しておりましたが、コロナの影響により事業を中止しております。

大変重要な活動だと思いますので、しっかりサポートしていただきたいと思います。
 高い海水の浄化機能を持つと言われておりますアサリであります。近年の海水温の上昇といった環境の悪化などにより生産量が減少しております。アサリの生息にも関係いたしますが、海底の環境改善は大変重要であり、干潟の保全や底質改善、アマモ場の造成など必要な施策は今後も力を入れていただくよう要望いたします。
 しかしながら、このような取組を長年継続していても、福岡市の水産業を取り巻く状況は、漁場環境の悪化や漁業者数、漁業生産量、生産金額なども減少しており、非常に厳しい状況と言わざるを得ません。福岡市では、この現状を打破すべく、現在、第11次水産業総合計画の策定を進められております。私は、水産業とは、生産者である漁業者から、そして、流通、消費に至るまでの国民に水産物を提供する役割を担う産業の総称だと思っており、水産業を将来にわたり継続していくためには、生産から消費まで、川上から川下まで総合的に取り組む必要があると考えております。私も水産業振興審議会の委員として計画の策定に当たり意見を述べさせていただきましたが、水産業総合計画は、今後の福岡市の水産業の指針となる大変重要なものであると改めて感じております。
 そこで、今回、第11次水産業総合計画の策定状況についてお尋ねをいたします。
 今回の総合計画の策定はどのようなお考えで策定をされているのか、伺います。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

現在策定中の次期総合計画につきましては、福岡市の水産業を取り巻く厳しい状況を踏まえ、中長期的な視点を取り入れるとともに、水産業の生産から流通、消費に至るまで総合的に取り組む方向で検討しております。なお、検討に当たりましては、漁業者や水産業関係者等からの意見聴取をしっかり行い、福岡市の水産業が将来にわたり発展していけるような計画となるよう議論を進めているところでございます。

これまでの総合計画と比較し、どういった変更点があるのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

これまでの総合計画と次期計画との変更点につきましては、これまでの計画は5年間の短期計画でございましたが、次期計画では中長期的視点に立ち、本市水産業の30年後の長期ビジョン及び10年後の基本方針を新たに設定したところでございます。なお、水産業が将来にわたり発展していくためには、水産物の安定供給、流通・加工の拡大、消費の拡大、就業構造の確立という4つの項目がうまく循環することが重要であることから、生産から流通、消費に至るまでの分野ごとに必要な振興施策を検討することとしております。

今回策定に当たり、どのように審議をしてこられたのか、伺います。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

今回の計画策定に当たりましては、令和3年2月に開催いたしました水産業振興審議会で漁業、養殖、環境、集落と消費、流通、加工の2つの分野別分科会を設置し、令和3年3月から6月にかけて、それぞれ4回ずつ分科会を開催いたしました。また、分科会では、福岡市の漁業者だけでなく、県外で最新の養殖業に取り組んでいる方や鮮魚店を経営されている方などの専門家を招聘し、計画案を策定してきたところでございます。

今までの計画と違って、しっかりと力を入れて今回計画を練ったということであります。
 水産業の中でも、とりわけ沿岸漁業が衰退すると、市民への新鮮な魚介類の提供が滞るだけではなく、豊かな自然環境の保全にも多大な悪影響が生じます。沿岸漁業の活力再生が求められるところでありますが、実態は漁業者の平均年齢が約60歳と高く、後継者の育成が喫緊の課題であります。
 本市には、福岡市漁業協同組合の下、11の支所、それと漁業地区が存在しますが、沿岸漁業者は後継者育成についてどのような意識を持っておられるのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

令和2年度に実施しました沿岸漁業者を対象とする漁家意識調査によりますと、約90%が後継者がいないと回答しております。また、身内に漁業を継がせたいと思っている漁業者は約8%となっております。なお、継がせたくない理由としましては、収入が不安定、将来に希望が持てない、仕事がきつい、危険などとなっております。

沿岸漁業就業者数は、平成4年に福岡市漁協が発足したときの1,261人と比べると、令和元年は499人と4割近くに減少するとともに、高齢化が進んでいます。
 就業者数の減少と高齢化をはじめとする漁業生産構造の脆弱化は、漁業生産高の減少等に大きな影響を及ぼしています。この課題の解決のためには意欲ある担い手の育成が大変重要でありますので、福岡市漁協への積極的な支援を検討されるよう要望いたします。
 さて、近年、サーモンやマグロなどをはじめとする養殖業が注目を集めています。そこで、本市の養殖業の現状等について質問いたします。
 本市で養殖をされている水産物の生産量、生産額、過去3年間の推移についてお尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

福岡市の養殖業につきましては、ワカメ、ノリ、カキの3種類の養殖に取り組んでおります。この3種類の過去3年間の生産量と生産額の推移でございますが、まず、ワカメにつきましては、平成30年の生産量は67トンで、生産額は1,527万4,000円、令和元年は52トン、1,254万5,000円、令和2年は75トン、1,824万7,000円でございます。次に、ノリにつきましては、平成30年の生産量は205トンで、生産額は1億364万6,000円、令和元年は148トン、8,547万8,000円、令和2年は138トン、9,539万6,000円でございます。次に、カキにつきましては、平成30年の生産量は49トンで、生産額は4,262万1,000円、令和元年は42トン、3,482万1,000円、令和2年は64トン、5,770万4,000円でございます。

ワカメ、ノリ、カキの養殖に取り組まれているということでございますが、今後、新たな水産物の養殖に取り組まれる予定があるのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

養殖業につきましては、漁船漁業と比較して身体的負荷や危険が少なく、高齢者や女性でも就業可能であることや、気象状況や不漁等の影響を受けにくく、水産物の安定供給が図れることなどのメリットがあり、福岡市の水産業を将来にわたり発展させるためには重要な取組であると考えております。また、ワカメ、ノリ、カキ以外の新たな養殖への取組につきましては、平成27年からアサリの完全養殖を目指し、志賀島にある中間育成施設におきまして、福岡市漁業協同組合と連携しながら取り組んでいるところでございます。今後も、研究機関、民間等の技術、知見等も活用しながら、新たな養殖の取組を進めていきたいと考えております。

今後検討していくという答弁でございますが、これまでの海藻類やカキだけではなく、魚類など幅広く取り組んでいく必要があると私は考えており、水産業振興審議会でも意見を述べさせてもらいましたが、天然資源に頼ったこれまでどおりの漁業のままでは大変厳しい状況からの脱却は大変難しいというふうに思います。これからは様々な条件に左右されず、安定した生産力がある養殖業を積極的に推進していくことが必要であると考えます。また、令和2年7月には国において、国内外の需要を見据え、養殖業の振興に本格的に取り組むために、養殖業成長産業化総合戦略が策定をされています。
 今後、陸上を含め、新たな養殖業の開発は水産業の将来を担うものとなっていくと思いますので、福岡市が主体となり、しっかり取り組んでいただくよう強く要望しておきます。
 次に、漁業集落の活性化についてお尋ねをいたします。
 昨年、福岡市の支援の下、漁協がプレミアム商品券を発売しました。この取組により商品券を買った人は、どこでどんな水産物が買えるのかを調べますし、福岡市の漁業者の取組を広く市民に知ってもらう上でよいきっかけとなったと思います。さらには、漁業集落を訪れて水産物を購入してもらうことによって、漁業集落の活性化にもつながる大変よい取組だと感じております。
 そこで、改めて商品券の販売の目的と販売状況について、また、今後どのように展開されていくのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

商品券販売の経緯につきましては、コロナ禍による魚価の低迷や、朝市、夕市などへの来客数の激減などにより売上げが厳しい状況であったため、水産物の売上げ向上や地元の新鮮な食材のよさを知ってもらうことで魚食普及を図ることなどを目的として販売することとしたものでございます。販売状況につきましては、令和2年10月から販売を開始し、令和3年1月に完売となっております。なお、発行冊数は300冊で、1冊1万円で1万2,000円分使用可能でございます。今後の展開につきましては、前回の好評を受け、新たな参加支所を加えることや、販売冊数、使用場所など規模を拡大して販売できるよう、現在、福岡市漁業協同組合と協議を行っております。

漁業者自ら取り組む直販事業を支援することは、漁業経営を守るためにも漁業集落を活性化するためにも重要な手段であると思います。
 また、福岡市には、西は北崎地区、東には志賀島などの漁港、漁業集落エリアがあり、都心部と違った雰囲気を持ったすばらしい観光地区であります。特に唐泊の海づり公園、カキ小屋、西浦の干物通りなどは以前より来訪客が増え、市民の憩いの場となっています。しかし、その一方で、大変悔しい思いをしておりますが、多くの市民はそこを通り越し、糸島のカキ小屋に行っているという状況もあります。現在、豊かな自然環境を有する農山漁村地域の志賀島、北崎地区においては、Fukuoka East & West Coastプロジェクトとして、海辺の観光周遊コースの形成に向けた取組などが進められております。
 漁業集落の活性化には、野菜、花卉などの魅力ある農村との連携や、Fukuoka East & West Coastプロジェクトなどの観光振興に向けた取組との連携は不可欠であると思いますので、そのような視点を踏まえ、朝市、夕市などによる水産物販売やイベント等により漁業集落の活性化に取り組んでいただきますよう要望いたします。
 続いて、流通機能についてでありますが、本市が開設者として抱える鮮魚、青果、食肉の3つの中央卸売市場が担う役割は、生産者、消費者にとって大変重要であります。その重要な役割、機能とは、国内外から多種多様な生鮮産品を集荷し、消費者に対し適正な価格で供給する機能、生産者に対しては販路の提供、生産されてくる農水産物を受け入れ、価格形成を行った上で分荷、販売し、代金をタイムリーに生産者に還元する機能、そして、小売業者、飲食業者に対して多種多様な農水産物をいつでも提供できる機能、要するに業界の川上と川下に販路提供や多様化する消費者ニーズなどの情報を伝達する大変重要な役割を担っているのであります。
 実際に私たち市民は、西日本最大のベジフルスタジアム、施設が高度衛生化されている長浜鮮魚市場などの3つの中央卸売市場が市内にあることにより、ふだん手に入らないような新たな品種の野菜、果物、鮮魚、加工物などが商店やスーパーで陳列され、かつ適正な価格で販売をされていることなど大きな恩恵を受けています。施設の高度衛生化、冷蔵施設の更新などのハード面、そして、管理マニュアルの強化、ハンドリングタイムの短縮などのソフト面などの取組だけではなく、市場関係者の長年の経験と知識の蓄積による目利きや情報網などは数値化できませんが、市場が継続していくためには市場機能をさらに強化する必要があると思います。
 市場法の改定により、モノの流れにも自由化、多様化の時代が到来してきましたが、福岡市が開設者の3つの中央卸売市場には、本来の物流、モノの流れをしっかり守り、私たち市民の食を守るという気概を持って取り組んでいただけることを要望いたします。
 次に、魚食振興について質問をしていきます。
 一昔に比べ、私たちの食文化は目に見えて変化をしてきました。外食、中食が増え、家庭で調理することが減ってきています。また、調理する場合でも、手間がかからないこと、価格が安いことなどから肉食が中心となってきています。その一方、お魚は骨が多くて食べづらく、あらなどが出るため調理したくないという意見をよく聞きます。しかしながら、古来より魚食は日本人の主食の一つであり、何よりも栄養価が高く、健康食でもあります。
 現在、コロナ禍によって開催できていませんが、私は年に20回ほどお魚教室を開催しておりました。福岡市の子どもには全員魚をさばけるようになってほしい、そういった夢を持って、子どもたちを対象としたおすし教室も開催をしていました。その教室では、子どもたちにお魚をさばくところから調理をしてもらって、料理の楽しさ、大変さ、そして、命の大切さなどを学んでもらっていました。回転ずしのネタの名前は知っていても、元の魚の形や名前を知らない子どもが多いことにいつも驚かされていました。そのおすし教室では、魚が苦手な子どもでも、自分がさばいて握ったおすしはきれいに食べてくれていました。魚食の普及を図っていくためには、若い世代をはじめ、子どもたちにも食育への関心と理解を深めてもらうことが大変重要だと思います。
 しかしながら、本市の状況に目を向けてみますと、魚がおいしいまちと言われながらも、本市における1世帯当たりの年間食料支出額に占める魚介類支出額は全国平均を下回っています。その原因について市はどのように認識をされているのか、お尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

福岡市における1世帯当たりの年間食料支出額に占める魚介類支出額の割合につきましては、総務省が公表している家計調査年報によりますと、令和2年で2万3,600円、割合は7.5%となっております。一方、全国平均につきましては2万6,200円、割合は8%となっており、福岡市の魚介類支出額の割合は全国平均より低い結果となっております。この主な要因としましては、全国における年齢別の魚介類支出額の割合を見ると、若い年齢層ほどその割合が低くなっていることから、若い年齢層が多い福岡市の魚介類支出額の割合は全国平均を下回っているのではないかと考えております。

私どもは魚食を普及させることが重要だと常々訴えてまいりましたが、そのためには、地産地消の観点からももっと学校給食で地元の水産物を使ってもらうことが必要だと思います。
 これまで学校給食ではどういった地元水産物を利用した給食が提供されてきたのか、その種類などについてお尋ねをいたします。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

農林水産局長

学校給食に導入された地元水産物につきましては、平成21年5月から天然ワカメが学校給食に導入され、平成28年度からは味つけノリやふりかけ、ブリフレーク、ブリフライ、コノシロしんじょうなどが新たに導入されております。今後も地元水産物が学校給食に導入されるように、漁業者や関係機関と連携し、取り組んでまいります。

ぜひ子どもたちには地元の水産物をしっかり食べていただいて、福岡のお魚はおいしいんだというのをしっかり認識してもらうことが重要だと思います。しっかり取り組んでいただけたらと思います。
 また、近年はまちの鮮魚店が減ってきております。消費拡大という観点からは、生産者と消費者をつなぐ重要な役割を担う小売店の存在も欠かせません。消費と直結する力強い小売店への支援も取り組んでいただくようお願いをいたします。
 そして、特に都心に近接した一等地と言える鮮魚市場では、市場関係者が主体となり、民有地を活用し、魚食普及の拠点として活性化施設整備に取り組んでいます。市場に直結し、また、市場の雰囲気がある、そして、市民の皆さんが立ち寄りやすいという好立地を生かし、水産物の消費拡大を図る起爆剤となるものと私も大きな期待を寄せております。地元のおいしい魚が食べられる拠点として観光市場施設の整備に向け、市場関係者と連携をし、魅力ある取組となるようにしっかり進めていただきたいと思います。
 新しい水産業総合計画には、漁業におけるICTの活用についても、盛り込まれる予定であると聞いております。これまで述べてきたように、従業者の高齢化や担い手不足、魚価の低迷など水産業を取り巻く環境は大変厳しいものとなっており、本市の水産業を持続可能なものとするためには、本産業においてもICTやAI、こうした最先端の技術を活用し、省エネ化、効率化を推進していくことが不可欠となっております。近年では、海水温などのデータを定期的に送信するシステムや、水中ドローンを使って海底の状況などを調査することができるようになっていると聞いております。また、水産物の販売や情報発信とICTとは親和性が高く、これらの分野におけるICTの活用は非常に有効的だと思います。
 本市においては、漁業、養殖業、保全活動における省エネ化、効率化の実現に向けて、ICT機器などの最先端技術を活用したスマート漁業をしっかりと推し進めていただくようお願いをいたします。
 今回、生産から流通、そして、消費までの水産業全般について質問、そして、要望をしてまいりました。本市水産業総合計画の策定もあり、今後の本市の水産振興の指針や在り方を見直す大変重要な時期となります。一人でも多くの市民に本計画を認知してもらい、本市の水産業の課題や厳しい状況を知っていただき、国内外に誇る地元産の水産物をさらに消費していただくことが水産業界全体の底上げになり、ひいては生産者の支援にも直結することになります。魚がおいしいまちに住んでいる私たち市民が魚食を振興し、福岡のお魚応援団として福岡市の水産業が今後盛り上がっていくように取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。
 最後に、これからの本市の水産業をどのように振興していくのか、市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。

議会質問

津田
信太郎

議会質問

市長

福岡市は、住みやすい都市として、また、訪れたい都市として国内外で高い評価を得ています。その要因の一つとして、魚がおいしいまち福岡としての名声が大きく貢献しているものと考えます。一方で、その福岡のまちの魅力を支える水産業を取り巻く現状は、漁獲量の減少や漁業従事者の減少など厳しい状況にあり、近年では海洋ごみによる生物多様性への影響、海水温の上昇などの気候変動による漁場環境の変化など長期的な対応が必要な課題も生じております。
 これらの状況を踏まえまして、次期水産業総合計画の策定に当たりましては、漁業振興にとどまらず、長期的な博多湾の環境への取組や適切な資源管理、水産物の流通、加工における付加価値の向上、市民や観光客がおいしく魚を食べられる環境の創出など、福岡市の水産業の生産から流通、消費に至るまで総合的に取り組んでいく必要があると考えております。今後とも、福岡市の水産業が将来にわたって発展していくことができるよう、漁業者や水産関係者、行政機関等が一体となって水産業の振興に取り組んでまいります。

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津田信太郎 市政相談所

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