2016年09月14日
津田
信太郎
港湾空港局長
民間委託の目的についてでございますが、空港運営の民間委託は、国が滑走路等の施設の所有権を保有したまま、その運営を行う航空系事業を民間に委託し、ターミナルビル等の非航空系の事業の運営とあわせ、民間の資金及び経営能力の活用による一体的かつ機動的な空港経営を実現しようとするものでございます。これにより空港と周辺地域の活性化を推進し、もって交流人口の拡大等による地域の振興、発展を図ることを目的としております。
次に、民間事業者が担う事業内容につきましては、国の基本スキーム案において、滑走路や誘導路、航空灯火等の維持管理、運営のほか、ターミナルビルや駐車場の運営などとなっております。
なお、航空管制業務は引き続き国が実施することとされております。以上でございます。
この制度では、現在、航空系事業と非航空系事業の担い手が分離しているところ、滑走路や航空灯火などの施設の管理を委託し、民間活力の活用により一体的、機動的な空港運営を実施し、ひいては地域の振興や発展を図るものだとお答えがありました。この基本スキーム案は、国が運営委託の具体的な制度設計に反映させることを目的として、民間事業者より幅広く意見を受け付けるために、事業実施の素案としてまとめたものとされております。
そこで、今後の民間委託の手続について、そのスケジュールはどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
津田
信太郎
港湾空港局長
民間委託に関する今後のスケジュールにつきましては、国の基本スキーム案において、平成29年3月ごろ実施方針を公表、5月ごろに募集要項等を公表、その後、審査手続を経て、平成30年5月ごろに運営権者となる民間事業者を選定し、平成31年4月ごろ民間委託開始の予定とされております。以上でございます。
いよいよ具体的に手続が進められる段階に来ているようですが、ここに至るまでのことを振り返ると、福岡空港の民間委託は、平成25年から26年にかけて地元における検討として、福岡空港運営検討協議会において7回にわたり協議、検討を重ね、民間委託の効果や課題と対応が報告書にまとめられました。福岡県と福岡市はこの報告書に基づき意見書をまとめ、平成26年11月に国に提出をしております。
そこで、この意見書において、民間委託の効果、課題としてどのようなことがあるとしたのか、お示しください。
津田
信太郎
港湾空港局長
国に提出した意見書における民間委託の効果、課題についてでございますが、民間委託により戦略的な路線誘致等による航空ネットワークの充実や空港運営の効率化によるコスト縮減、収益機会の増などによる利用者サービスの向上などが期待され、地域の振興、発展に効果があるとしております。その一方で、安全性の確保のほか、福岡空港固有の課題である借地や環境対策、空港運営に地元の意見が反映される仕組みの整備などを課題として挙げております。以上でございます。
意見書では、民間委託により戦略的な航路誘致による航空ネットワークの充実や空港運営の効率化によるコスト削減ができると考える一方、安全性の確保や空港運営に対し、地元の意向が反映される仕組みの整備などの課題もあると言及されております。意見書に対する国の対応はどのように基本スキーム案に反映されているのでしょうか。課題の幾つかを取り上げ、質問をしていきたいと思います。
まず、意見書の中の課題の一つである安全性についてお尋ねをいたします。
福岡空港では、滑走路増設に事業着手されており、その供用開始後は航空機の発着数の増加が予想されます。
そこで、安全性の確保について、民間委託ではどのように対応していくことになっているのか、お答えください。
津田
信太郎
港湾空港局長
民間委託における安全性の確保についてでございますが、まず、空港運営の民間委託は、いわゆる民営化とは異なり、設置管理者である国が施設を所有したまま運営を民間に委託するものでございます。このため、安全性の確保等の最終責任は国が負うものであり、国の関与が非常に強い制度となっております。具体的には、国は安全確保などに関する要求水準を定め、運営権者の履行状況を監視するとともに、要求水準が達成されていない場合、改善措置を求めることができるとされております。特に安全確保につきましては、運営の最優先事項とされており、国が運営していたときと同様の安全基準が適用され、民間委託の前後で変わるものはございません。以上でございます。
懸念される安全面の確保は大事なことであり、民間委託後も国の責任は低下しない、安全基準は変わらないということであります。しかし、国は滑走路の所有者、空港の管理者として最終的には責任を持つとはいえ、滑走路、航空灯火の維持管理、運営を任せるということは、委託の前後での安全基準が変わらないとしても、それを受ける側が民間であれば、何かの担保が欲しいところです。
次に、地域振興に係る協力と地域の意向を反映する仕組みについて質問をいたしたいと思います。
意見書では、運営権者が地域との関係を重視し、地域の意見が反映されるよう、地域との協議の場である空港法協議会の設置及び協議を通して、地域の意見が反映される仕組みを整えることを求めております。現在の福岡空港は、混雑空港に指定されるほど過密化が進んでおり、新たな航路の就航、増便に制約がある状況ですが、今後、平行誘導路の二重化や滑走路の増設により空港機能の強化が図られ、さらなる路線の充実が期待されるところであります。また、民間委託の効果としても、戦略的な航路誘致等による航空ネットワークの充実が掲げられております。言うまでもなく、福岡空港は博多港、そして博多駅と並び、我らが福岡市の大事な玄関口の一つであります。観光に力を入れていく上で、どのような航空路線を誘致するだとか、集客力を持ちながらおもてなしの機能を兼ね備えた空港施設整備には福岡市と民間委託業者とが膝を合わせ対話ができる立場、そして、その環境づくりが必要不可欠だと思います。
先般、福岡県は民間委託後の空港運営会社に出資する意向を表明しました。県は運営権者に出資をし、空港運営会社の経営に参画をし、福岡空港と北九州空港との連携など、福岡県の広域的な役割を果たしたいとのことであります。福岡空港の発着枠がオーバーする分、北九州空港へ移すことは、県として北九州空港との連携は当然のことでありますが、今後の路線誘致、そして選択について広域的な役割として県が経営参画をし、より優位な立場となり、また一方、本市が協議会でしか運営権者に言えない立場では関与の度合いは全く異なります。空港及び周辺の地域がさらに活性化し、交流人口の拡大等による地域活性化、地域の振興、発展を図るためには、意見書にもあるように、運営権者は地域との関係を重視すべきであり、地域の意向を踏まえた空港運営が行われるのは当然のことであります。
そこで、国の基本スキーム案において、空港法協議会などの地域の意向を反映する仕組みはどのようになっているのか、また、自治体の出資についてどのように規定されているのか、お答えください。
津田
信太郎
港湾空港局長
まず、基本スキーム案における地方自治体の出資につきましては、議決権株式の保有比率は、民間の能力を生かすという本事業の趣旨にのっとり、関係自治体の合計で約10%が上限とされ、出資を希望する自治体と選定事業者との間で協議が必要とされております。
次に、地域の意向を反映する仕組みにつきましては、運営権者が自治体などの関係者と協議を行う場となる空港法協議会の構成員として協議に応じなければならず、協議が調った事項については、その結果を尊重する義務が課されております。これに加えて、福岡市が空港運営に関する協議の場を設置する場合、運営権者が参加することも義務づけられているなど、出資のいかんにかかわらず、地元の自治体としてしっかり関与し、地域の意向を反映できる仕組みとなっております。以上でございます。
必ずしも県と同等の立場でいる必要はないかと思いますが、福岡空港の魅力向上のためにも、ひいては福岡市のシティセールスのかなめとなり得るゲートウェイ機能づくりには市もしっかりと関与をしていくべきだと思います。福岡空港は豊富な航路と充実した便数を誇る利便性の高い空港であります。また、福岡市は地下鉄や都市高速道路の延伸、空港周辺のまちづくりなど、さまざまな形で空港の価値を高めようと努力をしてきたと私は評価をいたしております。福岡空港は地域にとって重要な公共インフラであります。だからこそ、空港運営について地元との調整が必要なときに、市の意見がしっかりと反映されるべきだと思います。市は空港の重要性に鑑み、組織を港湾局から港湾空港局にしたのではないでしょうか。
設置管理者だからといって全て国に任せるのではなく、市のスタンスが後退したと見られることがないよう、空港と空港周辺の整備やアクセス向上など、地元自治体としての役割をしっかり果たすにはどうあるべきか、そういうことをしっかり十分に検討されることを要望して、この質問を終わります。
津田
信太郎
福岡空港は地域にとって重要な公共インフラであり、博多港と並んで重要なゲートウェイであります。しかも、市街地に位置し、世界でも屈指の利便性の高い空港であり、コンパクトシティを形成する骨組みの1つだとも思います。ですが、それゆえに多くの課題も抱えております。福岡空港の設置者である国は、空港運営の民間委託の実施に向けて手続を進めており、本年7月には事業実施の素案となる基本スキーム案が公表されました。
そこでまず、民間委託の目的、そして、その内容はどのようなものか、お尋ねをいたします。