2017年06月15日
津田
信太郎
環境局長
初めに、平成28年度からの自由化が全面自由化と言われている理由でございますが、工場やビルなどの大量の電力を使用する大口消費者については、平成12年度から段階的に自由化がされていた中で、平成28年度からは、家庭や商店などの小口消費者を含む全ての施設が自由化の対象となったことから、全面自由化と言われているものでございます。
次に、平成27年度までの電力自由化に対する福岡市の取り組みにつきましては、契約電力の大規模な区分から平成12年、16年、17年と、段階的に拡大されてきた電力自由化に合わせて、対象となった施設で競争性のある電力調達を導入し、平成27年度は約370の施設において、より安価な契約先の選定を行っております。
次に、平成28年度からの全面自由化に対する取り組みにつきましては、それまでの自由化対象施設に加え、新たに公民館などの約900の施設が対象となったことから、より効果的な電力調達を行うため、これらの施設のうち、市内に同様の施設が多数ある学校及び公民館計376施設について45グループに集約した上で、試行的に一括調達を実施したところでございます。この平成28年度に試行的に取り組みました電力一括調達の評価につきましては、試行前と試行した28年度で使用電力量が異なることや全国的な電力料金の変動などがありまして、確定的にお示しすることは困難でございますが、試行前と比べて入札参加事業者数が増加し、基本料金や従量料金等の単価が総じて安価となったことから、経済的な面で一定の成果があったものと考えております。以上でございます。
新たな手法の導入など、電気代の削減に向け、市役所が積極的に取り組まれている状況については理解ができました。そのような取り組みを着実に行うことで電気代を削減することができれば、市民の貴重な税金を他の施策に有効に使うことにつながります。今回は試験的な取り組みであるとのことでありましたが、この効果検証をしっかり行うとともに、電力使用状況などの施設の特性に合った手法を、施設所管局が容易に選択できるよう、さらに工夫を重ねていただきたいと思います。
さて、私は複数の友人から、今回の電力全面自由化を契機に電力会社を切りかえたと聞きました。その切りかえた理由について尋ねたところ、経済的なメリットだけではなく、新規に参入した小売り電気事業者が示す事業趣旨に賛同して切りかえを行ったということでありました。具体的には、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーなどの電源の中身で選んだ方、また、通信料金等との一括支払いなど利便性で選んだ方、また、事業拡大を図る地場企業を応援するために、事業者の特性で選んだ方などであります。全面自由化による市民などの消費者への効果については先ほど述べたとおりでありますが、この期待された効果の一つである多様な電力会社が新たに参入し、消費者の選択肢が増加したよい実例かと思います。確かに、経済的なメリットで電力会社を選択することは大変重要でありますが、選択肢の多様化も歓迎すべきであります。言うまでもなく、電力やガスなどのエネルギーの問題は、地球温暖化などの環境問題と密接にかかわっております。その電力会社が発電を行う際に、環境面での配慮をどのように行っているのかということを、選択の際に検討することも必要であるかと思います。
同様の趣旨から、市役所の電力調達において、経済的な効果以外にも、環境面の配慮を考慮して事業者を選択する取り組みが進められていると思いますが、福岡市の電力調達における環境配慮の取り組みの概要についてお尋ねをいたします。
津田
信太郎
環境局長
福岡市の電力調達における環境配慮の取り組みにつきましては、平成27年11月に、福岡市電力の調達に係る環境配慮方針を策定し、電力調達の競争入札においては、事業者の二酸化炭素排出係数、再生可能エネルギーの導入状況、未利用エネルギーの活用状況などを数値化して、それらの基準に満たない場合は入札に参加できないこととするなど、環境配慮の取り組みを推進しているところでございます。以上でございます。
市役所の電力調達においては、経済効果だけではなく、福岡市電力の調達に係る環境配慮方針という環境面を配慮した制度を運用しているとのことであります。また、その評価項目は、二酸化炭素の排出に関すること、再生可能エネルギーの導入などで、これはまさに福岡市が策定した地球温暖化対策実行計画や環境・エネルギー戦略を、市役所みずから率先して推進するための取り組みでもあります。このように、国のエネルギーシステム改革へ対応して創意工夫を凝らし、電力一括調達という新たな取り組みに挑戦して経済効果を生み出しながら、一方で環境負荷を軽減する要素を取り入れた調達制度についてもあわせて実施している福岡市の取り組みは、一層推進していくべきものだと思います。
一方、最近のエネルギーを取り巻く状況を見ますと、太陽光発電の普及拡大に大きく寄与していた国の固定価格買取制度、いわゆるFIT制度の見直しによる買い取り価格の引き下げを受けて、採算性の観点から、今後の太陽光発電の普及を不安視する声もあるようです。また、温暖化対策についての国際情勢の変化も大きな話題となっております。このような状況で、福岡市のエネルギーや環境への取り組みがこれまでと同様に推進できるのかについては、いささか懸念されるところであります。
電力一括調達などの取り組みについては、今後も刻々と変化することが予想される国の動きや制度の見直しに適切に対応され、経済面においても、環境面においても、成果を出していく必要がありますが、これを含むエネルギー問題や環境問題に対する取り組みについて、環境局長の決意をお尋ねいたします。
津田
信太郎
環境局長
まず、電力一括調達などにつきましては、議員御指摘のとおり、電力自由化を契機に一定の経済的な効果を生み出しながら、同時に環境負荷をも削減することができる取り組みと考えており、今後は複数の施設を保有する事業者等に導入を働きかけるなど、一層推進をしてまいります。
エネルギー問題や環境問題に対する取り組みにつきましては、エネルギーを取り巻く国内外の環境の変化等もしっかりと見据えながら、福岡市環境基本計画に掲げる低炭素のまちづくりの推進に向けて、再生可能エネルギーの導入等による分散型エネルギーシステムの構築やエネルギー利用の効率化等を着実に進めてまいります。以上でございます。
昨年4月に、電力の小売りの全面自由化が始まって1年がたちました。また、ことし4月からは、都市ガスについても全面自由化が始まっております。この電力、ガスの全面自由化は、国のエネルギーシステム改革の一環でありますが、これまで、電力、ガス等の業態ごとに制度的に存在をしていた市場の垣根を撤廃し、エネルギー企業の相互参入や異業種からの新規参入を進めることにより、競争によるコストの低廉化と、消費者の利便性を向上させることが期待されての改革と聞いております。電力の自由化に対する福岡市の対応につきましては、全面自由化のスタート直前の平成28年当初議会の際にも、私、質問をさせていただきましたが、全面自由化から1年が経過し、ガスの自由化についてもスタートしたこの時期に、改めて電力の自由化に対する福岡市の対応をただしていきたいと思います。
そこでまず、前回のおさらいになりますが、国が進めている電力自由化について、平成28年度からの自由化がなぜ全面自由化と言われているのか、その理由と、全面自由化になる前の平成27年度までの電力自由化の流れと、これに対しての福岡市の取り組み、平成28年度からの全面自由化に対しての福岡市の取り組みを、それぞれお伺いいたします。あわせて、平成28年度の取り組みに関しての結果や効果については、決算値が確定していない中で、確かな数字や効果の算出は困難かと思いますし、詳細な検証も今後なされると思いますが、平成28年度に始めた新たな取り組みについて、現時点での所見をお尋ねいたします。